planetscope岩石鉱物詳解図鑑

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蛇紋岩 serpentinite

蛇紋岩(serpentinite, サーペンティナイト)はほとんど蛇紋石(serpentine, サーペンティン)のみからなる岩石。変成岩の一種。 蛇紋岩は主としてかんらん岩などの超苦鉄質岩が水と反応することで生じ、この反応を蛇紋岩化反応または蛇紋石化反応という。
蛇紋岩(高知県横倉山)_serpentinite Mt. Yokokura-yama, Shikoku Is., Japan  Kurosegawa melange belt
蛇紋岩(高知県横倉山 画像幅約15cm)

蛇紋岩の概要

蛇紋岩の主要な構成鉱物は蛇紋石であり、その他に磁鉄鉱水滑石(ブルース石)緑泥石クロム鉄鉱などを含む。また、原岩となったかんらん岩などの超苦鉄質岩を構成していたかんらん石(苦土かんらん石)、頑火輝石などが残っていることもある。

上記の構成鉱物の量比や粒径、岩石組織などによって蛇紋岩の見た目は異なるが、蛇紋岩の色は深緑色、帯緑黒色、黄緑色、帯青暗緑色などである。これらの色がまだら状に、蛇の表皮のような模様となることが多い。また、質感も湿った鈍い光沢を示すことから、蛇の表皮に似た印象を与える。

蛇紋岩の露頭
蛇紋岩の露頭。

蛇紋石などのマグネシウム珪酸塩鉱物は、大気中の二酸化炭素や水と反応して風化し、赤茶色のコーリンガ石やブラグナテリ石などを生じる。野外の風化した蛇紋岩の露頭は赤茶色になっていることが多い。

成因と産出地

蛇紋岩の産出する場所は、大抵の場合、マントル物質が地表に露出していることを意味する。

オフィオライト

蛇紋岩メランジュ

低温高圧型変成帯

コマチアイト質火成活動

コマチアイトは超苦鉄質の組成を持つ火山岩である。現在の地球ではコマチアイト質火山活動は見られないが、世界各地の約20億年前以前の太古代や原生代の地質体にコマチアイトが広く見られる。新鮮なコマチアイトはかんらん石や直方輝石の結晶と、超苦鉄質から苦鉄質の微晶質ないしガラス質の石基からなり、変質によって蛇紋岩化する。

蛇紋岩と地形

蛇紋岩地帯では地すべりが起こりやすいとされている。特に、小規模な蛇紋岩体や、蛇紋岩体の境界部分では、蛇紋岩の風化や変質が進行して滑石や緑泥石、スメクタイトといった鉱物が生じることで地盤を構成する岩石の強度が下がって地すべりが起こりやすい他、蛇紋岩を主体とした崖錐堆積物などからなる場所もまた地すべりが起こりやすい(矢田部ほか, 1997)。

蛇紋岩をはじめとする超苦鉄質岩からなる地質体上の植生は、高山植物群落が周囲の通常の岩石地域に比べて低い高度で発達していたり、その地域特有の固有種が生育していたりなど、特異な植物群からなっていることが多い。
その原因として、(1) 蛇紋岩から土壌へ供給される高い濃度のニッケルによって、植物の根の細胞分裂が阻害されたり、ニッケルが葉内に吸収されてクロロフィル濃度の低下により光合成能力が低がったりする(Gabbrielli et al., 1990;Yang et al. 1996)、(2) 蛇紋岩から土壌へ供給される高い濃度のマグネシウムによって、植物体内のCa/Mg 比が低下し、植物体内のMgがCaと置き換わり、細胞壁や細胞膜の機能が低下する(Gabbrielli and Pandolfini 1984; Marschner 1995)、(3) 蛇紋岩土壌では植物の生育に不可欠なリンや窒素といった栄養元素が乏しく生育は抑制される(Nagy and Proctor, 1997)、などの理由が考えられている。日本国内の蛇紋岩に関連した特異な植生ので見られる場所として、北海道のアポイ岳(光田・増田, 2005)、長野の白馬周辺(波多野・増沢, 2008)、尾瀬の至仏山などが挙げられる。も同様に有名である。このような特徴がある。ただし、蛇紋岩地域であっても、土壌が厚く堆積しているような場所では蛇紋岩の影響が少なく、普通の植生が発達することが多い。

蛇紋岩の産業利用

蛇紋岩の重要な用途として石材が挙げられる。 建築業界や石材業界では、蛇紋岩は"大理石(マーブル)の1種"として扱われる。緑色系の大理石として販売されている石材の多くは、岩石学的には蛇紋岩やそれに関連した蛇灰岩などの岩石である。 このような蛇紋岩の石材としての取り扱いは、岩石学的な意味での大理石と同様に硬度が低い鉱物を主体としていることや、研磨面の見た目が類似していることに基づいていると考えられる。

緑色系の大理石の1種の石材として用いられる蛇紋岩 serpentinite tiles on floor
緑色系の大理石の1種の石材として用いられる蛇紋岩(上野国立科学博物館の床)。

また、蛇紋岩は肥料の原料としても用いられる。蛇紋岩とリン鉱石を炉で溶融し急冷破砕したガラス状の固体を熔成リン肥と言い、農地へ散布することで土壌へのリン酸分の供給や酸性度の低下などの効果がある。

関連項目

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参考文献