橄欖石 olivine

橄欖石(カンランセキ, olivine, オリビン)はM2[SiO4](M=Mg, Fe, Mn, Ca, Ni...)という形式の化学式で表せる単斜晶系の鉱物グループで、ネソ珪酸塩鉱物に属する。
橄欖石グループのうち、特にM=Mgである苦土橄欖石(クドカンランセキ, Forsterite, フォルステライト)とM=Feの鉄橄欖石(テツカンランセキ, Fayarite, ファヤライト)の固溶体が最も一般的で、超苦鉄質岩、苦鉄質岩を構成する主要な造岩鉱物であり、単に橄欖石(ペリドット)という場合は通常それらの固溶体を指す。 地球の上部マントル(深さ約440km付近まで)の大部分は苦土橄欖石からなるため、地球上に豊富に存在する鉱物である。 しかし大陸地殻の大部分は花崗岩類やそれに類似した組成の堆積岩変成岩で構成されているので、 それらに含まれる主要な造岩鉱物である石英長石角閃石等と比べると、橄欖石を地表で見られる頻度は一般的には低い。
苦土橄欖石(苦土かんらん石) フォルステライト forsterite
苦土橄欖石

カンラン石の概要

橄欖石グループの一般化された組成式はM2[SiO4]である。このMに入る元素が最も多いものによって鉱物種名がそれぞれ以下のように与えられている。
 M=Mg : 苦土橄欖石(クドカンランセキ, Forsterite, フォルステライト)
 M=Fe : 鉄橄欖石(テツカンランセキ, Fayarite, ファヤライト)
 M=Mn : テフロ石(テフロイシ, Tephroite, 和名はマンガン橄欖石とも)
 M=(Ca, Mg) : モンチセリ石(モンチセリセキ, monticellite)

最も普通に見られる橄欖石は、苦土橄欖石である。通常、マグネシウムの一部が鉄に置換された鉄橄欖石との固溶体として産する。普通に見られるカンラン石のマグネシウムと鉄の比は95:5~85:15程度である(モル比)。
純粋な苦土橄欖石は無色であるが、鉄を含むことによって黄緑色~黄褐色を帯びる。さらに鉄が多くなると褐色、黒褐色、黒色などの色になり鉄橄欖石はほとんど透明感がないことが多い。

へき開は、苦土橄欖石、鉄橄欖石、テフロ石などでは{010}や{100}方向に不完全ながら見られるが、モンチセリ石ではほとんど見られない。カンラン石の割れ口は不規則であることが多い。

比重は、苦土橄欖石やモンチセリ石では3.2であるが、鉄橄欖石は4.4、テフロ石は4.1である。このため、普通に見られるカンラン石(Mg:Fe = 95:5 ~ 85:15)では比重は3.4くらいであることが多い。

カンラン石の概要

カンラン石は地球の上部マントルを構成する橄欖岩の主要な鉱物である他、地表で見られる超苦鉄質岩や苦鉄質岩中にも広く含まれる造岩鉱物である。
苦土カンラン石は地表付近の環境では風化や変質によって水と反応して蛇紋石に変化する。 逆に、蛇紋石や苦灰石を多量に含む岩石(蛇紋岩や苦灰岩)が変成作用を受けると苦土橄欖石を含む変成岩が形成される。
苦土カンラン石は隕石のなかにもよく見られる鉱物で、他の岩石惑星のマントルでも一般的な鉱物であると考えられている。

鉄がマグネシウムよりも多く含まれる鉄カンラン石は、苦土カンラン石に比べて遥かに希少である。純粋な鉄カンラン石は濃褐色~黒褐色で、マグネシウム含有量が増えるに従い色が薄くなる。 鉄に富む特殊な火成岩や変成岩の中に産する他、流紋岩花崗岩質ペグマタイトの空隙に生じる。後者のような産状の場合、鉄カンラン石の自形結晶が見られることも多い。

テフロ石は変成マンガン鉱床に産する。色は帯青灰色~緑灰色、大抵は塊状で産し、バラ輝石、アレガニー石、ブラウン鉱などのマンガン鉱物を伴う。
モンチセリ石はスカルンに産する褐色の鉱物で、方解石珪灰石とともに産する。

カンラン石の産業的利用

苦土カンラン石は黄緑色で透明の美しい大粒の結晶で産する事があり、ペリドット(peridot)という呼称で宝石に利用される。

カンラン岩としてまとまった量で産出する苦土橄欖石は、耐火材や鋳造における鋳型の砂、またコンクリートの骨材などとして採掘され利用されている。

関連項目

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