planetscope岩石鉱物詳解図鑑

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石英 quartz

石英(せきえい, quartz, クォーツ)は二酸化珪素(SiO2、珪素・酸素)からなる鉱物。三方晶系、硬度7、比重2.7。へき開は無く、割れ口は不規則、または二枚貝の貝殻状の模様に見えるガラスのような割れ方をする。 石英の色は純粋なものは無色透明であるが、微量成分や放射線の影響で白色、灰色、黒色、紫色、黄色、桃色などを呈する。 自形結晶は先端の尖った六角柱状で、肉眼的なサイズのものを特に水晶(すいしょう)と呼ぶ。

石英(水晶) quartz crystal Loc. Minas Gerais, Brazil
石英(水晶) Loc. Minas Gerais, Brazil

石英の産出

地球の大陸地殻を構成する花崗岩類の主要な造岩鉱物であり、さらに火成岩堆積岩変成岩のいずれであっても石英を含むものは多く、地球表層のあらゆるところで普通に見られる。 このため、様々な鉱物・岩石の組成を石英と安定に共存するかどうかに着目して考察することは成因を考える上で有用である。 たとえば、苦土カンラン石はMg2SiO4という組成を持つが、これは石英とは安定に共存せず、 石英と反応してよりシリカに富んだ頑火輝石 Mg2SiO6を生じる。
このように、石英と安定に共存する鉱物のみから構成されている、または石英を含んでいる岩石の組成を「シリカ飽和」、逆に石英とは安定に存在しない組成の鉱物、またはそれらを構成鉱物として持つ岩石の組成を「シリカ不飽和」という。 マントルの大部分を構成しているかんらん岩はシリカ不飽和な岩石の1つとして挙げられる。シリカ不飽和な岩石の代表として準長石を含むアルカリ火成岩が挙げられる。
ただし、堆積岩や変成岩、あるいは火成岩中の捕獲岩や捕獲結晶など、数センチメートル以下のスケールでも熱力学的平衡が成り立っていない岩石の場合はこのようなシリカ飽和・不飽和の考察に注意が必要である。 一見すると、1つの岩石の中にシリカ不飽和な鉱物が石英と共存しているように見える場合があるが、よく観察するとそれらの間には反応してできたシリカ飽和な鉱物が薄い層を作っており、直接は接触していない場合がほとんどである。 たとえば変成マンガン鉱石において、テフロ石ブラウン鉱の間にはバラ輝石などが必ず生じている。

石英は広く様々な岩石に含まれているもののその粒子サイズは通常は1, 2cm以下で、長石雲母類など他の造岩鉱物と共存して産出する。 石英単体が濃集する、あるいは極端に大きな結晶(自形結晶を含む)に成長するのは主に、(1)地殻内で生じるシリカ分に富んだ流体(熱水)の活動、(2)砕屑物形成時の鉱物分別、(3)生物活動の関与したシリカ濃集、という3つの過程のどちらかあるいは両方が関わっている。
火成活動に伴って生じる熱水のほか、堆積物の続成作用や様々な岩石の変成作用に伴って、シリカ(二酸化ケイ素)を多量に溶かし込んだ流体(熱水)が生じる。 そのような流体が地層や岩石の中の断層やクラックなどを移動した跡には、ほとんど石英のみからなる脈がしばしば形成される。 特に脈の周囲の岩石が花崗岩類や砂岩など石英に富んだ岩石の場合、純度の高く太い石英脈となり、空隙があれば大きな自形結晶(水晶)が発達する。 熱水がシリカの他に鉄などの金属の塩を多量に含む場合は、石英を主体とし黄鉄鉱などのを硫化鉱物を伴う熱水鉱脈が形成される。 ペグマタイトの場合は長石を伴うものの数cmからときに1mを越えるような巨大な石英の結晶を形成する。
一方で、岩石中の造岩鉱物が風化・侵食されて砂や泥といった砕屑物になる過程において、石英は長石類や有色鉱物などと比べて耐久があり泥よりも砂に残りやすい。 そのため、平たい大陸で長時間かけて風化・侵食にさらされた砂により、石英が90%を超えるような組成の砂岩が形成されることがある(石英アレナイト)。 このような石英質砂岩、あるいはそれが変成してできたクォーツァイトのような変成岩中に続生作用や変成作用で生じた脈からは、純度の高い石英やその自形結晶が産する。
さらに、石英が濃集するプロセスとして、海洋に住む放散虫や、湖沼に住む珪藻土といった、シリカの殻をもつ生物の活動が関与するものが挙げられる。 これらの生物の殻はオパールや非晶質シリカ(ガラス)からなり、石英ではないが、堆積後の続生作用で石英隣、チャート珪藻土といった90%以上が石英からなる堆積岩になる。

白色の石英の塊 white massive quartz  茨城県錫高野鉱山
白色の石英の塊。  Loc. 茨城県錫高野鉱山

石英の形態と色

石英の色は純粋なものは無色透明であるが、微量成分や放射線の影響で白色、灰色、黒色、褐色、紫色、黄色、桃色などを呈する。

広く岩石中に見られる石英は灰色、白色、無色などである。 灰色の石英は主に花崗岩類に見られる。 石英が灰色などの黒みを帯びる理由は、不純物として含まれる微量のアルミニウムと、長石や雲母に含まれるカリウムの放射線の影響が合わさって結晶構造の歪みが生じるためであるとされている。 ペグマタイトではカリウムのほかウランやトリウムなどの放射性元素が濃集しており、より濃い灰色や、灰色よりも濃くほぼ不透明な黒色の水晶まで存在する。 条件によっては透過光が淡褐色に見える石英となることもある。
宝石名として、灰色や褐色の水晶をスモーキークォーツ(smoky quartz)・煙水晶(けむりすいしょう)、黒色のものをモリオン・黒水晶と呼ぶ。 なお、鑑賞石や宝飾品にするために、無色や白色の水晶に人工的に放射線を照射して黒色の水晶にしたものも生産されている。

石英に微量の酸化鉄II(Fe2+)が含まれると紫色になる。特に透明度の高い紫色の水晶は、宝石としてアメシスト(amethyst)・紫水晶と呼ばれる。 石英に酸化鉄III(Fe3+)が含まれる場合、黄色く色づき、それらはシトリン・黄水晶と呼ばれる。シトリンとアメシストがひとつの結晶内で入り混じっている場合があり、そのようなものはアメトリンと呼ばれる。 なお、紫水晶を加熱することで人工的に黄水晶にすることができ、そのようなものが宝飾品用に生産されている。

石英に微量のマンガンが含まれるとピンク色になり、そのようなものはローズクォーツと呼ばれ宝飾品に用いられる。

石英は形態によって様々な別称を持つ。これらは学術的に定義された用語ではなく慣用的なものであるが、鉱物・岩石の記載において用いられることもある。
・水晶(crystal):肉眼で識別できる大きさ(最低でも数ミリ以上)に成長した自形結晶の石英、もしくは透明度の高い単結晶石英の塊のことを指す。
・玉髄(ぎょくずい、chalcedony、カルセドニー): 微粒な石英結晶が集合したもの。石英粒子の間に微細な他の鉱物種が入り込むことで様々な色を呈し、宝飾品に用いられる。
・瑪瑙 (めのう、jasper、ジャスパー): 玉髄のうちが縞模様が顕著なもの。玉髄と同様に宝飾品に用いられる。
・陶器質石英: 低温型熱水鉱床に特徴的に見られる緻密な塊状の石英。光沢や割れ口が陶器のようであることからこのように慣用的に呼ばれる。

石英と関連する鉱物

石英と同じく二酸化珪素の組成を持ち、結晶構造の異なる鉱物(多形、同質異像)には以下のような種類がある。
・モガン石(moganite、モガナイト)
・β石英(高温石英, β-quartz)
・鱗珪石(リンケイセエキ, tridymite、トリディマイト):SiO2、単斜・三斜
・クリストバル石(cristobalite、クリストバライト, 方珪石, ホウケイセキ):正方
・スティショフ石(stishovite、スティショバイト):正方
・コース石(coesite、コーサイト):単斜

石英の産業的利用

上述のように、石英は地球表面の地殻の様々な岩石に含まれているものの、石英のみが濃集する場所は他の鉱産資源同様に限定的であるため、鉱業的な採掘を行う場所の選定が必要になる。

ペグマタイトクォーツァイトなど純度の高い石英の得られる岩石は、ガラスやその他の様々なケイ素化合物の原料として化学工業に用いるために、露天掘りなどで大規模に採掘される。 またそれらの岩石は、二酸化ケイ素を還元して得られる純粋な珪素は半導体産業の重要な資源である。

石英が大きく自形結晶に成長したものを特に水晶(すいしょう)と呼び、宝飾品に用いられる。 特に、紫色の石英であるアメシストは日本などの国では2月の誕生石として珍重され、アクセサリーに加工されて広く販売されている他、ブラジル産の群晶が大量に土産物屋等に出回っている。

水晶は電圧を加える(電界を印加する)と変形する(圧電効果). 圧電効果の発見はピエール・キュリー(1880~1881、マリーと結婚しキュリー夫妻として放射線の研究を始める前)によってなされたが、水晶板は電圧をかけた時の振動数は温度に大きく依存することが知られていた。 東京工業大学の古賀逸策(1899-1982)の研究によって、水晶を結晶学的にある特定の方向のスライスにすることで、温度無依存な非常に精度の高い特定の周波数の振動を得られることが発見され、今日まで水晶振動子(石英振動子)として時計をはじめとする電子部品に広く用いられる。
水晶振動子の発明初期には、天然の水晶の大型結晶から結晶学的に切り出すべきスライスの特定を手作業で行っていた. 現在では, 純度の高い石英鉱石(必ずしも大きな結晶である水晶とは限らない)を水酸化ナトリウムなどのアルカリ性物質と混ぜ、オートクレーブという加熱装置内で人工的な熱水に溶かし、それを徐冷することで人工的に大型で純度の高く結晶の形の揃った水晶を合成している。

石英ガラス

関連項目

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