角閃石 amphibole

角閃石(カクセンセキ, amphibole, アンフィボール)はイノ珪酸塩鉱物のグループ名。造岩鉱物として様々な種類の火成岩や変成岩の中に生じる。角閃石は複雑な結晶構造を持ち、種類数(端成分の数)は極めて多い。
柱状や針状など細長い形の結晶で産出することが多い。

普通角閃石

角閃石の概要と分類

標準的な角閃石の式は 一般化してAB2C5T8O22X2と表される。
この式のA,B,C,T,X成分は次の結晶学的サイトに対応する:
A: 上記の式当たり1サイト
B: 2つのM4サイト
C: 2つのM1サイト、2つのM2サイト、1つのM3サイトからなる計5つの八面体サイト
T: 4つの組の2セットからなる計8つの四面体サイト
X: 2つのサイト。

それぞれのサイトを占めるイオンを以下に列挙する。
□(空孔)およびK+: Aのみ
Na+: AまたはB
Ca2+: Bのみ
L-タイプのイオン(Mg2+,Fe2+,Mn2+, Li+および、Zn2+,Ni2+,Co2+のような近いイオン半径を持つ微量のイオン): CまたはB
M-タイプのイオン(Al): CまたはT
Fe3+および、よりまれなMn3+,Cr3+: Cのみ
高い電荷のイオン(Ti4+など): CまたはT
Zr4+: Cのみ
Si4+: Tのみ
陰イオン(OH,F,Cl,Oなど): Xのみ

産業的利用

緑閃石やリーベック閃石など色の美しい種類の角閃石は、研磨して宝飾品に利用される。
緑閃石の微細な結晶の集合で透明感のあるものは、軟玉(ネフライト)と称される。

直閃石やカミントン閃石、グリュネル閃石、リーベック閃石などの繊維状の結晶で産する種類の角閃石は石綿(アスベスト)として耐火材などに利用されていたが、発がん性物質であることが明らかになって以降は用いられていない。

関連項目

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