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planetscope 岩石鉱物詳解図鑑

planetscope岩石鉱物詳解図鑑は、各種岩石・鉱物について豊富な写真とともに解説する。 デザインがそれとなくウ◯キペディアっぽいのは、対抗心からである。ただし、この図鑑はplanetscope館長が1人で書いている。 それゆえ、個人の興味関心によって内容に偏りや誤りがあることもあるかもしれない。その場合、やさしくツイッターなどで指摘していただければ幸いです。

研究用に採集・整理された岩石標本_1つずつ紙製の小箱に入れ、それらをもろ蓋に並べて収納してある
小箱に収められた岩石標本
 

鉱物

鉱物(こうぶつ、mineral、ミネラル)とは、天然に産する一定の化学組成を有した無機質結晶質物質のことを指す。人工結晶や活動中の生物に含まれるもの(貝殻や骨など)は厳密に排除される。ただし、慣習的にいくつかの例外が存在する(炭化水素であるカルパチア石、液体である水銀、ガラス質であるオパールなど)。
ここでは代表的な鉱物分類について概説する。より詳細な鉱物種や分類は、鉱物の一覧のページに列挙した。

鉱物の化学組成による分類

鉱物の分類方法で最も一般的なものは、以下に示す化学組成に基づく分類方法である。 通常、含まれる陰イオンの種類によって分類される。複数種類の陰イオンが含まれる場合、下記のうち、より下に挙げてある陰イオンを優先して分類される。(たとえば、硫化物イオンと珪酸塩を両方含む鉱物は硫化鉱物ではなく珪酸塩鉱物に分類される。)

元素鉱物(げんそこうぶつ、native element mineral, ネイティブエレメントミネラル):
単一の元素からなる単体、あるいは合金からなる組成を持つ。ただし、元素としての性質に近い化学的性質を持つ化合物である炭化物、ケイ化物、窒化物、リン化物で構成された鉱物(ほとんどは隕石中に産する)は、例外的に元素鉱物に含まれる。

硫化鉱物(りゅうかこうぶつ、sulfide mineral、サルファイドミネラル):
硫化物からなる鉱物。主に金属硫化物だが、輝安鉱(硫化アンチモニー)や鶏冠石(硫化ヒ素)など非金属元素の硫化物も含まれる。黄鉄鉱のような二硫化物も硫化鉱物に含まれる。硫化物と似た性質を持つ砒化物、 セレン化物、テルル化物も硫化鉱物の一部として扱われる。また、金属と半金属(砒素やアンチモニー)を両方含む硫化鉱物のうち、半金属が金属と似た役割を演じて複塩の形に書けるものを硫塩鉱物という下位分類で区別されることがある。

ハロゲン化鉱物 (はろげんかこうぶつ、 halide mineral、ハライドミネラル):
ハロゲン化物からなる鉱物。

酸化鉱物(さんかこうぶつ、oxide mineral、オキサイドミネラル):
酸化物からなる鉱物。金属酸化物や非金属酸化物が含まれる。水酸基(OH-)を持つ水酸化鉱物は、酸化鉱物の一部として扱われる。石英のようなシリカ(珪酸)からなる鉱物は珪酸塩鉱物に分類されることもあるが、珪酸「塩」では無いので、酸化鉱物に分類する方が普通である。

炭酸塩鉱物(たんさんえんこうぶつ、carbonate mineral、カーボネートミネラル):
炭酸塩からなる鉱物。炭酸水素塩からなる鉱物も炭酸塩鉱物として扱われる。化学的性質の似ている硝酸塩鉱物(しょうさんえんこうぶつ、 nitrate mineral、ニトレートミネラル)は炭酸塩鉱物の一部として扱われる。

硼酸塩鉱物(ほうさんえんこうぶつ、 borate mineral、ボレートミネラル):
硼酸塩からなる鉱物。硼酸イオンの重合度によってネソ硼酸塩鉱物、ソロ硼酸塩鉱物、シクロ硼酸塩鉱物、イノ硼酸塩鉱物、フィロ硼酸塩鉱物、テクト硼酸塩鉱物と細分化される。

硫酸塩鉱物(りゅうさんえんこうぶつ、sulfate mineral 、サルフェイトミネラル):
硫酸塩からなる鉱物。化学的性質のやや似ているセレン酸塩鉱物、テルル酸塩鉱物、クロム酸塩鉱物、モリブデン酸塩鉱物、タングステン酸塩鉱物なども硫酸塩鉱物の一部として扱われる。

燐酸塩鉱物(りんさんえんこうぶつ、phosphate mienral、フォスフェートミネラル):
燐酸塩からなる鉱物。化学的性質の似る砒酸塩鉱物(ひさんえんこうぶつ)・バナジン酸塩鉱物も燐酸塩鉱物の一部として扱われれる。

珪酸塩鉱物(けいさんえんこうぶつ、silicate mienral、シリケートミネラル):
珪酸塩からなる鉱物。珪酸イオンの重合度によってネソ珪酸塩鉱物、ソロ珪酸塩鉱物、シクロ珪酸塩鉱物、イノ珪酸塩鉱物、フィロ珪酸塩鉱物、テクト珪酸塩鉱物と細分化される。 また珪酸中の珪素の一部をアルミニウムで置き換えたイオンを持つ鉱物はアルミノ珪酸塩鉱物と呼ばれることがある。

有機鉱物 (ゆうきこうぶつ、organic mineral、オーガニックミネラル):
有機物からなる鉱物。

岩石の種類と分類

岩石(がんせき、rock)は鉱物(こうぶつ、mineral)の集合体である。岩石という用語の地球科学的な定義には物理的な大きさは関係しないが、最低限、複数の鉱物結晶が集合している必要がある(単一の鉱物種の結晶が複数集合したものであっても岩石である)。
岩石を成因によって大きく分けると、火成岩堆積岩変成岩の3つのグループに別れる。
ここでは代表的な岩石について概説する。より詳細な岩石種や名前は、岩石の一覧のページに列挙した。

火成岩

火成岩(かせいがん、Igneous rocks)はマグマが冷え固まってできた岩石である。 火成岩を大きく分けると、主にマグマがゆっくり冷え固まった深成岩と、マグマが急速に冷え固まった火山岩の2つからなる。

中間的な速さで冷えた岩石として半深成岩という用語も存在するが、現在ではあまり使われない。 日本語の名前にあらわれているように、深成岩は地下深部でマグマがゆっくり冷え固まったもの、火山岩は火山のように地表付近までマグマが上昇して急冷したものである場合が多いが、 分類の定義としては冷却速度(とそれによって作られる岩石組織の特徴)が重要であって、必ずしも地下の深度とは対応しない。

花崗岩-かこうがん-granite  安山岩 あんざん岩 あんざんがん andesite アンデサイト
典型的な深成岩と火山岩の例。花崗岩と安山岩。

表. 代表的な火成岩
化学組成 珪長質   中間質 苦鉄質 超苦鉄質
深成岩 花崗岩 花崗閃緑岩 閃緑岩 斑れい岩 かんらん岩
火山岩 流紋岩 デイサイト 安山岩 玄武岩 コマチアイト

堆積岩

堆積岩(たいせきがん、sedimentary rocks)は、既存の岩石が風化・侵食により砕かれてできた砕屑物(れき、砂、泥など)、火山灰や軽石、スコリアなどの火山砕屑物、または生物遺骸の粒子などといった堆積物が、 海底・湖底などの水底または地表に堆積し、固結してできた岩石。堆積物が固結するには、水などの流体による化学反応が必要で、その一連のプロセスを続成作用という。 水から物理的・化学的により生じた沈殿物が固結してできた化学堆積岩(化学沈殿岩)も堆積岩に含まれる。

表. 代表的な堆積岩
砕屑岩 れき岩 砂岩 シルト岩 泥岩 凝灰岩
生物堆積岩 チャート 石灰岩 苦灰岩 珪藻土 石炭
化学堆積岩 チャート 石灰岩 苦灰岩 岩塩 石膏

変成岩

変成岩(へんせいがん、metamorphic rocks)は、既存の岩石が熱や圧力、または流体の作用による化学組成の変化によって、溶融すること無く再結晶し、異なる鉱物組み合わせ・鉱物組織となった岩石を指す。 変成岩を形成する作用を変成作用(metamorphism)という。 変成岩の主な分類は、プレート運動にともなう造山運動(オロジェニー)によって形成される広域変成岩、火成岩貫入に伴った熱や化学組成の変化によってできる接触変成岩、断層運動に伴って、 断層運動に伴う岩石の温度や圧力の上昇、または変形によって形成される動力変成岩などに分けられる。 堆積岩の形成過程である続成作用と、変成岩の形成過程である変成作用は、明確な区切りがなく連続的である。そのため、変成作用の弱い変成岩は堆積岩として扱われることもある。 変成作用を受ける前の元の岩石を源岩(protolith)と言う。特に変成岩地帯の地質構造を議論する場合などには、変成岩としての岩石名よりも、源岩の名前で岩石を扱うことも多い。

表. 代表的な変成岩
広域変成岩 千枚岩 結晶片岩 角閃岩 エクロジャイト 片麻岩
接触変成岩 ホルンフェルス 結晶質石灰岩 千枚岩 珪岩 スカルン
動力変成岩 マイロナイト

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