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ホルンフェルス hornfels

ホルンフェルス(hornfels)泥岩または砂岩が接触変成作用(マグマ貫入による熱で起こる変成作用)で形成される変成岩。特に花崗岩類などの深成岩の貫入によって元からあった泥岩や砂岩が変成されることで生じる。
ホルンフェルス hornfels (神奈川県丹沢 Tanzawa, Kanagawa)
ホルンフェルス hornfels (神奈川県丹沢)

ホルンフェルスの概要

ホルンフェルスは源岩によって、泥質ホルンフェルス(pelitic hornfels、ペリティックホルンフェルス)と砂質ホルンフェルス(psammitic hornfels、ザミティックホルンフェルス)に分類される。泥質ホルンフェルスは黒色、黒灰色、黒褐色などの暗い色を呈することが多く、砂質ホルンフェルスはそれより明るい灰色や灰褐色などの色を呈することが多い。

ホルンフェルスの主な構成鉱物として石英黒雲母が挙げられる。
泥質ホルンフェルスの場合、源岩の泥岩の組成を反映してアルミニウムやカリウムに富む鉱物が形成している場合が多い。 ホルンフェルスに含まれる特徴的な鉱物の代表例として、菫青石紅柱石珪線石白雲母などが挙げられる。
有機物に富む泥岩を源岩とするホルンフェルスのなかには、石墨磁硫鉄鉱、黄鉄鉱が生じていることもある。

紅柱石ホルンフェルス andusite hornfels ()
紅柱石ホルンフェルス

菫青石ホルンフェルス cordierite hornfels (神奈川県丹沢 Tanzawa, Kanagawa)
菫青石ホルンフェルス (冒頭の写真の裏側). 風化によって菫青石の結晶が浮き上がっている。

同じ接触変成作用であっても、石灰岩を源岩とするものは大理石(結晶質石灰岩)チャートを源岩とするものはクォーツァイト(珪岩)、また砂岩を源岩とするものであっても石英が90%以上を構成する場合はこれもクォーツァイト(珪岩)になる。 また、泥岩がさらに変形を伴うような強い変成作用を受けると泥質片麻岩へと変化するが、ホルンフェルスと泥質片麻岩の間は連続的である。

産出地

最もよく見られるホルンフェルスは、花崗岩類斑れい岩などのマグマが貫入した周りに形成されるものである。 このようなホルンフェルスは世界各地・日本各地で普通に見られる。

山口県萩市(旧須佐町)の須佐湾奥から北に5キロメートルほど進むと海岸沿いに見られる海食崖には「須佐ホルンフェルス大断崖」と呼ばれる景勝地がある。 この須佐ホルンフェルス大断崖は、2007年に日本の地質百選に選定された。 須佐ホルンフェルス大断崖では灰色と黒色の縞模様が見られ、灰色の部分は石英の多い砂岩、黒色の部分は石英よりも粘土鉱物や有機物を多く含有する泥岩を源岩としたホルンフェルスである。 須佐ホルンフェルスの変成はは1400万年前に斑れい岩マグマ貫入の熱によって生じた。


山口県萩市(旧須佐町)の須佐湾のホルンフェルス露頭。白い部分が砂岩起源のホルンフェルス、黒い部分が泥岩起源のホルンフェルス。

産業的利用

花崗岩質マグマなどに取り込まれて形成されたホルンフェルスは、花崗岩の石材の一部として利用されることがある。東京上野にあるパンダ橋の看板が有名である。 しかし、多くの場合はそのような石材中の不均質構造は見た目の調和が取りづらいため好まれない。

緻密なホルンフェルスはかつて石器にも利用されていた。

関連項目

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