花崗閃緑岩 granodiorite
花崗閃緑岩の定義と概要
花崗閃緑岩は「無色鉱物全体に対して、20~60体積%の石英を含み、かつ65~90体積%が斜長石、残りがカリ長石であるもの」と定義される。 QAPF図において右上の領域で表わされる範囲である。 花崗閃緑岩に含まれる斜長石の組成は典型的には斜長石のうちNaに比較的富む成分に当たるアンデシン andesineであり、% anorthite ≡ Ca/(Ca+Na) = 30~50%である。
花崗閃緑岩の主な構成鉱物は、無色鉱物である斜長石(plagioclase)、カリ長石(K-feldspar)、石英(quartz)が90%程度を占め、
これに10%程度の有色鉱物を伴う。有色鉱物は大抵の場合、黒雲母(biotite)または角閃石族(amphibole family)である。
花崗閃緑岩中の角閃石類は一般にはカルシウムに富む普通角閃石(hornblende)であるが、カルシウムの乏しいカミントン閃石(cummingtonite)を含む場合もある。
花崗閃緑岩には黒雲母が多く、普通角閃石との量比は1:1か、それ以上であることが多い。石英閃緑岩では角閃石が多く、黒雲母が比較的少ないことが普通である。
花崗閃緑岩の組成は、火山岩のデイサイトの一部に対応する。
アクセサリー鉱物(微量ではあるが普通に含まれる鉱物)として、磁鉄鉱 magnetite、チタン鉄鉱 illmenite、磁硫鉄鉱pyrrhotite、緑簾石 epidote、燐灰石 apatite、ジルコン zircon、褐簾石 allanite、チタン石(titenite、スフェーンspheneとも)等が挙げられれる。
成因・産出地
実験岩石学により、花崗閃緑岩を含む花崗岩類は含水状態の玄武岩質岩石が高温に晒されて部分溶融することで形成することが知られている。 特に玄武岩質岩石の部分溶融でできる花崗岩類として、トーナル岩、トロニエム岩と花崗閃緑岩の3種類が最も主要なものとして挙げられる。これら3種類の英名の頭文字を合わせてTTGという略称がしばしば用いられる。
石材としての産業利用
花崗岩や斑れい岩などの深成岩と同様に、御影石の1種として建築石材として利用される。