閃緑岩の定義は「無色鉱物の体積比が、石英が5%以下、アルカリ長石は10%以下、残りはすべて曹長石である深成岩」である。以下に示すQAPF図の右端の領域に当たる。
QAPF図における閃緑岩の位置は、斑れい岩や斜長岩と同じ領域に当たるが、それらの岩石とは斜長石の種類が曹長石であるか灰長石,/a>であるか、すなわち斜長石の成分としてナトリウムが多いかカルシウムが多いかで区別される。
閃緑岩に含まれる斜長石の組成は、典型的には Ca/(Ca+Na) = 30~50%である。石英はごくわずかに、重量にして5%以下しか含まれない。
閃緑岩の有色鉱物として、角閃石グループ、黒雲母、輝石グループなどが挙げられる。
含まれる有色鉱物の一般的な傾向として、閃緑岩の方が角閃石を、斑れい岩の方が輝石やかんらん石をそれぞれ含みやすい。
無色鉱物の量比(モード比)は既に定義に用いられているので、その他の特徴的に含まれる有色鉱物を冠した名前が付けられる。
石英閃緑岩quartz dioriteは、「石英を特徴的に多く含む閃緑岩」の意味であるが、 QAPFの図による無色鉱物の量比を用いた分類では「閃緑岩」とは別の範囲に当たることに注意が必要である。 また、花崗閃緑岩granodioriteはおおよそ花崗岩と閃緑岩の中間のような性質を持った岩石であることから命名されたものだが、 これも無色鉱物(石英、アルカリ長石、斜長石)の量比の違いで定義されているので、必ずしも「花崗岩よりも有色鉱物が多く、閃緑岩よりも有色鉱物が少ない」と言うことは意味しない。 「石英閃緑岩」と「花崗閃緑岩」では、その名前の印象とは裏腹に花崗閃緑岩の方が石英をたくさん含んでいることに注意が必要である。
閃緑岩は、花崗岩や斑れい岩などと同様に、御影石の1種として建築石材に利用される。花崗岩やハンレイ岩などと組合せて使うことで、白色、灰色、黒色などさまざまなグラデーションを持った御影石の装飾を施すことができる。