灰長石 anorthite

灰長石(かいちょうせき, anorthite, アノーサイト)はCaAl2 Si2 O8 という組成を持つ三斜晶系の鉱物で、長石グループの代表的な端成分の1つ。 曹長石(そうちょうせき、albite、アルバイト)NaAl Si3 O8との固溶体は斜長石と呼ばれる。比重2.8。
灰長石の色は、純粋なものは無色であるが、微量成分や放射線、微小な包有物などの影響で白色、灰色、淡黄色、淡緑色、赤褐色など様々な色を帯びる。
灰長石は主に玄武岩斑れい岩などの苦鉄質火成岩や、角閃岩相以上の変成度の高い変成岩などでよく見られる。
ほとんど灰長石のみからなる岩石として、特殊な火成岩として、斜長岩(灰長岩)が挙げられる。斜長岩は斜長石の結晶が苦鉄質マグマ中で晶出した際に、マグマよりも軽い結晶であるためにために結晶分別作用によって生じる。月の表面の白く見える部分は斜長岩であり、月の光は主として太陽光を灰長石が反射している光である。
灰長石はしばしば宝飾品として用いられる。火山岩斑晶の灰長石は自然銅赤鉄鉱などの微細な包有物を含むことが稀にあり、美しい赤色に見えるものはサンストーン(日長石)という。また、灰長石のうち曹長石との中間的な組成に近いものは、マイクロメートルスケールの繰り返し双晶を持つことで、薄膜干渉による青色、黄色、オレンジ色などの閃光を放つことがある。美しい閃光を放つものは「ラブラドライト」と呼ばれる。
かつては、灰長石は曹灰長石(labradorite, ラブラドライト, Ab50-30An50-70)、亜灰長石(bytownite, バイトウナイト, Ab30-10An70-90)と細分化されていたが、現在は正式には用いられない。

玄武岩の斑晶として産した灰長石。画像幅約5cm。
Loc. 東京都三宅島赤場暁

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