純粋なローソン石は無色であるが、白色、灰白色、灰青色~淡青色、灰紫色~淡紫色、淡緑色などの色を呈する。クロムを含むものは濃い鮮緑色となる。ガラス光沢を示し、硬度7.5、比重3.1。へき開は[001]に完全、[110]に不完全。
ローソン石は藍閃石などと並んで低温高圧型変成岩に特徴的な造岩鉱物である。 青色片岩相~エクロジャイト相程度の変成を受けた玄武岩質、泥質、砂質などの変成岩に広く含まれるが、多くの場合は1mm以下の微細な結晶として含まれるため、フィールドで目視で確認できることは少ない。 一部の青色片岩などの中には、ローソン石が数cm程度の大型の自形結晶として産したり、数mmから数cm程度の幅を持った脈やレンズなどの結晶の集合体として産することがある。
ローソン石は、より高温条件下では灰簾石や斜灰簾石と石英、藍晶石(あるいは珪線石)などの鉱物組合せに相転移しながら脱水し、さらに高温低圧の条件では灰長石になる。ローソン石の組成は灰長石(CaAl2Si2O8)+水分子x2として表すことができる。
エクロジャイト中に含まれるローソン石は、沈み込むスラブでは深さ300km程度まで安定に存在できると考えられており、沈み込み帯深部のマントルへの水の供給に重要な変成鉱物である。
ローソン石グループの鉱物として以下のものが知られている。
天然のローソン石に工業的な利用価値は無いため、ローソン石を目的とした鉱業的採掘は行われていない。 まれにローソン石の美しい結晶を研磨して宝飾品として利用されることがある。