緑簾石は、様々な変成度の苦鉄質変成岩(いわゆる緑色岩)を構成する造岩鉱物として広く普通に見られる。緑簾石を含む変成相として、ぶどう石-パンペリー石相から緑色片岩相、青色片岩相(藍閃石片岩相)、緑簾石角閃岩相、緑簾石エクロジャイト相などがある。
緑簾石はスカルンのなかにも頻繁に見られ、しばしば数cm以上の大きな自形結晶に成長する。
火成岩の中に緑簾石が生じることは少ないが、緑簾石花崗岩などの例が挙げられる。 火成岩に対して熱水の作用が関与するような環境では緑簾石がよく見られる。特に花崗閃緑岩~石英閃緑岩~閃緑岩質のペグマタイトの中には緑簾石の結晶がよく見られる。 また、変質作用の結果として火山岩中の空隙や脈に生じることも多い。
緑簾石の組成のうち、Ca2Fe3+Al2の部分を他の陽イオンで置き換えた同じ結晶構造の鉱物が存在し、それらをまとめて緑簾石グループと呼ぶ。 緑簾石グループの間では広く固溶体を成すものもある。特に斜灰簾石と緑簾石との間の固溶体では肉眼で判別することが著しく困難なものもある。
緑簾石(epidote):Ca2Fe3+Al2(Si2O7)(SiO4)O(OH)
斜灰簾石(clinozoisite、クリノゾイサイト):Ca2AlAl2(Si2O7)(SiO4)O(OH)
紅簾石(piemontite):Ca2Mn3+Al2(Si2O7)(SiO4)O(OH)
褐簾石(allanite-(Ce)):CaCeAl2Fe2+(SiO4)(Si2O7)(OH)
ストロンチウム緑簾石(epidote-Sr):CaSrFe3+Al2(Si2O7)(SiO4)O(OH)
ストロンチウム紅簾石(piemontite-Sr):CaSrMn3+Al2(Si2O7)(SiO4)O(OH)