紅簾石は珪酸塩鉱物の1種で、ソロ珪酸塩鉱物、緑簾石グループに属する。 紅簾石の色は濃赤色や紫赤色などで、大粒に発達した結晶は透明感のあるものも見られる。 結晶の底面に平行にへき開が発達する。
MnをAlに置き換えると斜灰簾石に、Mnの一部をFeに置き換えると緑簾石になり、これらとの間に連続的に固溶体が存在する。 また、カルシウムをストロンチウムで置き換えたものはストロンチウム紅簾石(piemontite-(Sr))という独立種として扱われる。
紅簾石の産出は、低温高圧型変成作用を受けてできた結晶片岩と、変成マンガン鉱床の2つが主、いずれも変成岩である。 天然鉱物中のマンガンは2+、3+、4+と酸化数は3つ存在するが、紅簾石のように変成岩の中に生じるマンガン鉱物には3+のマンガンが存在することが多い。
結晶片岩中の紅簾石は石英、白雲母、赤鉄鉱などと共存する。柱状またが針状の結晶が片狸面に沿って成長している。
変成マンガン鉱床の中の紅簾石はブラウン鉱などと共存する。
この他、まれに玄武岩や安山岩の熱水変質によって生じる事がある。そのようなものは組成的には斜灰簾石に近くマンガンの含有量が低い。
紅簾石片岩 Loc. 高知県汗見川
紅簾石を含む結晶片岩(紅簾石片岩)は美しい赤紫色と共存する白雲母による煌めきを持つため、高級石材として使用される。