デイサイト dacite
デイサイト(dacite)は火山岩の一種。
珪長質な組成で、流紋岩よりもやや安山岩寄りな性質を持つ。
斑状組織を持つことが多い。斑晶としては石英,斜長石,カリ長石,輝石,角閃石,黒雲母などの鉱物を含む。
多くの場合、見た目は白色から灰色だが、風化や変質によって黄褐色や灰緑色などの色を帯びる。
- デイサイトの定義と概要
- 成因・産出地
- デイサイト質マグマの性質と火山噴火
- 関連項目
デイサイトの定義と概要
デイサイトは「SiO2が63~70wt%で、無色鉱物の量比が石英は20-60%、アルカリ長石が0-35%の火山岩」と定義される。
安山岩よりも石英に富み、流紋岩よりもアルカリ成分(特にカリウム)に乏しい。
デイサイトの組成は、深成岩の花崗閃緑岩とトーナル岩を合わせた範囲に相当する。
通常は斑状組織を持つが、急冷されたものでは微細な石基のみであったりガラス質であることも少なくない。
斑晶は石英,斜長石,カリ長石,輝石,角閃石,黒雲母などを含む。石英は高温石英の仮晶になっていることもある。アクセサリー鉱物として、磁鉄鉱magnetite、チタン鉄鉱ilmeniteなどを含む。
かつてはデイサイトの和名として「石英安山岩」という、あたかも安山岩の亜種であるかのような用語が当てられていたが、安山岩よりもむしろ流紋岩に近い性質を持つことから、現在では用いられない。
成因・産出地
デイサイト質マグマは、玄武岩質岩石の部分溶融によって生じる。 沈み込み帯の火成活動では、デイサイトは安山岩に継いで一般的な火山岩である。 玄武岩質マグマとデイサイト質マグマが混合すると安山岩質マグマになる。 デイサイトよりもさらに珪長質な流紋岩は沈み込み帯ではむしろ稀である。
やや風化したデイサイト dacite (静岡県伊豆の国市白鳥山)
デイサイト質マグマの性質と火山噴火
デイサイト質マグマは低温で粘性が大きい。 デイサイト質マグマを噴出する火山では、爆発的な噴火が起こることが多い。 火砕流のような危険な火山災害を引き起こすこともある。