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クリソタイル chrysotile

クリソタイル(chrysotile)はMg3(Si2O5)(OH)4という組成を持ち単斜晶系の鉱物。 フィロ珪酸塩鉱物に分類され、蛇紋石サブグループに属する1種。細かい繊維状の結晶で産することが多く、かつては石綿として利用されていた。

クリソタイル

クリソタイルの特徴

クリソタイルはリザーダイトアンチゴライトと並んで一般的な蛇紋石鉱物3種のうちの1つである。蛇紋石の結晶構造は、SiO42-四面体(すなわち4配位のケイ素)が点を共有するシートと、MgO610-八面体(6配位のマグネシウム)の線を共有する3八面体構造のシートとが結合したものを1枚の単位とし、その複合シート同士が水素結合によって重なった構造である。クリソタイルはこれらのケイ素-酸素とマグネシウム-酸素のシートが同心円状に重なった構造になっている。したがって、クリソタイルは原子レベルのミクロに見ると円筒のようにシートがつながっている構造を持っていると言える。ほとんどの場合、クリソタイルは繊維状で産する。

クリソタイルは繊維状の結晶で産出し、絹糸光沢を持った白色、淡緑色、淡黄色、淡褐色などを呈する。 クリソタイルの硬度は2.5、比重は2.61である。

通常、クリソタイルは単斜クリソタイル(Clinochrysotile、クリノクリソタイル)のことを指すが、ポリタイプ(積層タイプ)によって直方クリソタイル(orthochrysotile、オルソクリソタイル)も存在する。

クリソタイルの産出

クリソタイルは蛇紋岩中の割れ目や空隙を充填する繊維状結晶の形で産することがほとんどである。周りの蛇紋岩はリザーダイトからなるものもアンチゴライトからなるものも両方ある。

クリソタイルの産業的利用

繊維状に結晶したクリソタイルは、などと並んでかつては石綿(アスベスト)として利用された。 しかし石綿による健康被害が確認されるようになって以降、クリソタイルを採掘、利用されることはなくなった。

関連項目

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