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リザーダイト lizardite

リザーダイト(lizardite, リザード石, りざーどせき)はMg3(Si2O5)(OH)4という組成を持ち三斜晶系の鉱物。 フィロ珪酸塩鉱物に分類され、蛇紋石サブグループに属する1種。

リザーダイト

リザーダイトの特徴

リザーダイトの色は緑色、黄緑色、灰緑色、淡黄色、白色など。リザーダイトは同じ蛇紋石鉱物であるアンチゴライトと比べるとやや鈍い光沢を示し、蝋のような光沢である。リザーダイトの硬度は2.5、比重は2.57で、{001}方向に完全なへき開を持つ。リザーダイトの細かい粒が集合した蛇紋岩は不規則に割れ、せん断を受けているとやや歪んだ割れ口を示すことが多い。

リザーダイト(リザード石)は、アンチゴライトクリソタイルと並んで一般的な蛇紋石鉱物3種のうちの1つである。 蛇紋石の結晶構造は、SiO42-四面体(すなわち4配位のケイ素)が点を共有するシートと、MgO610-八面体(6配位のマグネシウム)の線を共有する3八面体構造のシートとが結合したものを1枚の単位とし、その複合シート同士が水素結合によって重なった構造である。リザーダイトは単純にケイ素-酸素とマグネシウム-酸素のシートが互層した構造を持つ。厳密には、リザーダイトのポリタイプ(積層タイプ)として、リザーダイト-1M、リザーダイト-1T、リザーダイト-6T1、リザーダイト-2H1、リザーダイト-2H2が区別される。

リザーダイトの産出

リザーダイトは蛇紋岩を構成する蛇紋石として最も一般的に見られる種類である。蛇紋石鉱物3種は生じる温度によって変化し、組成によっても変わるが、リザーダイトは50-300℃と比較的低温で、アンチゴライトは250-600℃と比較的高温で生じる。したがって、地表付近や上部地殻などでかんらん岩などの超苦鉄質岩や苦鉄質岩変成岩に含まれるかんらん石が変質した場合、たいていはリザーダイトとなる。

リザーダイトの産業的利用

リザーダイトに限定した産業的利用方法は無いが、蛇紋岩を構成する鉱物として石材や飾り石、化学工業の原料などとして採掘、利用される。 特に”貴蛇紋石”と呼ばれる宝飾品に用いられる蛇紋石で、黄緑色を呈するものはリザーダイトであることが多い。

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関連項目

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