ペリクレース periclase
ペリクレース( periclase)はMgOという組成を持ち立方晶系の鉱物。酸化鉱物の1種で、酸化マグネシウムからなる。硬度5.5、比重3.55-3.57、劈開は完全。純粋なペリクレースの色は無色~灰白色であるが、鉄を含むことで、黄色、黄褐色、灰緑色などを帯びる。透明でガラス光沢がある。
ペリクレースは地表では産出は稀な鉱物で、主に接触変成を受けた苦灰岩(ドロマイトスカルン)中に産する。 一方、深さ約660kmよりも下の下部マントルでは、ペリクレースはブリッジマナイトと並んで主要な構成鉱物であり、地球全体でみると多量に存在する鉱物である。
ペリクレースは地表では産出は稀な鉱物で、主に接触変成を受けた苦灰岩(ドロマイトスカルン)中に産する。 一方、深さ約660kmよりも下の下部マントルでは、ペリクレースはブリッジマナイトと並んで主要な構成鉱物であり、地球全体でみると多量に存在する鉱物である。
- ペリクレースの特徴
- ペリクレースの産状
- 関連項目
ペリクレースの特徴
ペリクレースは2価の金属イオンと酸化物イオンの1:1の結合からなる最も単純な酸化鉱物の1つである。 MO型酸化鉱物、等比酸化鉱物、一酸化鉱物などと呼ばれる。
ペリクレースのMgをFe, Ni, Mn, Cdなどで置き換えた鉱物が存在し、ペリクレースグループとしてまとめられている。
ペリクレースグループに属する鉱物を以下に列挙する。
- ペリクレース(periclase):MgO
- ウスタイト(wüstite):FeO
- ブンセン石(bunsenite):NiO
- 緑マンガン鉱(manganosite) : MnO
- モンテポン石(monteponite):CdO
天然に産するペリクレースは、ある程度マグネシウムMgの一部が鉄Feに置き換わっており、ウスタイトwustuteとの固溶体になっている。このようなペリクレースとウスタイトの中間的な組成のものを、マグネシオウスタイト(magnessiowustite)、あるいはフェロペリクレース(Ferropericlase)と呼ぶことがある。
ペリクレースの産状
ペリクレースが最初に発見されたのは、イタリア ナポリの接触変成を受けた苦灰岩(ドロマイトスカルン)中であるが、この他、世界各地のドロマイトスカルンから発見されている。地表付近ではペリクレースは風雨によって風化し、ブルース石(水滑石)に変化する。
マントルは大部分がかんらん岩の組成を持っており、上部マントルでは主に苦土かんらん石から構成されている。苦土かんらん石は深さ660 km付近まではウォズレアイト(wadsleyite)、リングウッダイト(ringwoodite)という結晶構造の異なる同質異像の鉱物に変化するが、それよりも深くなると、
Mg2SiO4 → MgO + MgSiO3
という反応で分解し、ペリクレースとブリッジマナイトになる(文献[1][2][3])。ペリクレースは下部マントルのほぼ全体で安定で、地球全体の体積のかなりの割合がペリクレースからできている。
関連項目
参考文献
- [1] Ringwood, A. E. (1962). Mineralogical constitution of the deep mantle. Journal of Geophysical Research, 67(10), 4005-4010.
- [2] Ito, E., & Takahashi, E. (1989). Postspinel transformations in the system Mg2SiO4‐Fe2SiO4 and some geophysical implications. Journal of Geophysical Research: Solid Earth, 94(B8), 10637-10646.
- [3] 入舩徹男. (1994). 特集 地球科学 マントル中の相転移と物質構成. 高圧力の科学と技術, 3(1), 19-27.