ペリクレース periclase

ペリクレース( periclase)はMgOという組成を持ち立方晶系の鉱物。酸化鉱物の1種で、酸化マグネシウムからなる。硬度5.5、比重3.55-3.57、劈開は完全。純粋なペリクレースの色は無色~灰白色であるが、鉄を含むことで、黄色、黄褐色、灰緑色などを帯びる。透明でガラス光沢がある。
ペリクレースは地表では産出は稀な鉱物で、主に接触変成を受けた苦灰岩(ドロマイトスカルン)中に産する。 一方、深さ約660kmよりも下の下部マントルでは、ペリクレースはブリッジマナイトと並んで主要な構成鉱物であり、地球全体でみると多量に存在する鉱物である。
ペリクレース(periclase) マグネシオウスタイト(magnesiowustite)/ Loc. Mt. Somma, Napoli, Italy
ペリクレース(periclase)
Loc. Mt. Somma, Napoli, Italy
灰色半透明部分がペリクレース、標本幅約20cm

ペリクレースの特徴

ペリクレースは2価の金属イオンと酸化物イオンの1:1の結合からなる最も単純な酸化鉱物の1つである。 MO型酸化鉱物、等比酸化鉱物、一酸化鉱物などと呼ばれる。 ペリクレースのMgをFe, Ni, Mn, Cdなどで置き換えた鉱物が存在し、ペリクレースグループとしてまとめられている。
ペリクレースグループに属する鉱物を以下に列挙する。

天然に産するペリクレースは、ある程度マグネシウムMgの一部が鉄Feに置き換わっており、ウスタイトwustuteとの固溶体になっている。このようなペリクレースとウスタイトの中間的な組成のものを、マグネシオウスタイト(magnessiowustite)、あるいはフェロペリクレース(Ferropericlase)と呼ぶことがある。

ペリクレースの産状

ペリクレースが最初に発見されたのは、イタリア ナポリの接触変成を受けた苦灰岩(ドロマイトスカルン)中であるが、この他、世界各地のドロマイトスカルンから発見されている。地表付近ではペリクレースは風雨によって風化し、ブルース石(水滑石)に変化する。

マントルは大部分がかんらん岩の組成を持っており、上部マントルでは主に苦土かんらん石から構成されている。苦土かんらん石は深さ660 km付近まではウォズレアイト(wadsleyite)リングウッダイト(ringwoodite)という結晶構造の異なる同質異像の鉱物に変化するが、それよりも深くなると、
Mg2SiO4 → MgO + MgSiO3
という反応で分解し、ペリクレースとブリッジマナイトになる(文献[1][2][3])。ペリクレースは下部マントルのほぼ全体で安定で、地球全体の体積のかなりの割合がペリクレースからできている。

関連項目

参考文献

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