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ダナイト dunite

ダナイト(dunite)かんらん岩の一種で、カンラン石(苦土橄欖石)の割合が90%を超え、他には微量のクロム鉄鉱直方輝石などしか含まない岩石である。主にハルツバージャイトに対する玄武岩質マグマによる交代作用によって形成される。かつてはヅン岩, ヅンかんらん岩とも称されたが現在では一般的ではない。
ダナイトの切断研磨面(北海道幌満)
ダナイトの切断研磨面(北海道幌満)

ダナイトの概要

ダナイトは橄欖石の割合が90%を超え、他には微量のクロム鉄鉱や直方輝石などしか含まない岩石である。新鮮なダナイトの色は鮮やかな黄緑色であることが多い。橄欖石の巨大な単結晶を含むこともしばしばある。 ハルツバージャイト中の脈状に生じている事が多く、クロミタイトを包含することもある。

ハルツバージャイト中のダナイト脈(北海道幌満)
ハルツバージャイト中のダナイト脈(北海道幌満)

ダナイトの成因

マグマだまり内でのカンラン石の結晶分化

苦鉄質~超苦鉄質マグマによるマグマだまりの中では最初におもにカンラン石が晶出するため、それらがマグマだまり内部で沈降してダナイトを生じることがある。このようなマグマだまり内部での沈降によって生じたダナイトは、地殻内での結晶分化過程の産物である。

マントルかんらん岩とメルトの反応

一般に、上部マントル内で部分溶融をすることで「レルゾライト → ハルツバージャイト+玄武岩質マグマ」という反応が起きる。レルゾライト中のAlの大半やCaの多くは玄武岩質マグマへ分配される。つまり、レルゾライトの方が始原的な橄欖岩で、ハルツバージャイトは液相濃集元素に枯渇した橄欖岩である。ところが、さらに部分溶融を進めてハルツバージャイトからダナイトを形成しようとすると、コマチアイトを噴出するような異常な高温が必要となってしまう。常識的に有り得ないだけでなく、橄欖石のTi濃度などの微量組成からも超高温による枯渇は否定されている。
現在、広く普及しているダナイト形成モデルは、マントルのある程度深さで生じた玄武岩質マグマが地表へ向けて移動する際、通過したハルツバージャイトと開放系で反応し、直方輝石が橄欖石となる交代作用を起こすというものである。

ハルツバージャイト中のダナイト脈(北海道幌満)
Fo-En-SiO2系の相図を用いたダナイトの成因の模式的な説明

メルトとの反応によるダナイトの形成機構と同様にして生じる岩石として、クロミタイトが挙げられる。実際、クロミタイトのなかでもポディフォームクロミタイトと呼ばれるタイプのものはほとんど常にダナイトを伴って産する。

関連項目

planetscope岩石鉱物詳解図鑑