2017 群馬県藤岡市の御荷鉾緑色岩類に伴う砕屑岩と埼玉県長瀞の三波川変成岩

Meta-clastic rocks associated with the Mikabu greenstones in Fujioka, Gunma Pref. and Sanbagawa metamorphic rcoks in Nagatoro, Saitama Pref.

巡検の概要

関東山地には白亜紀の低温高圧型変成帯である三波川変成帯が広く露出しており、特に埼玉県長瀞地域では岩畳などの観光地として有名です。 三波川変成帯の中には、御荷鉾緑色岩類と呼ばれる変成度が低く形成年代もやや古い岩石が含まれています。 御荷鉾緑色岩類はその名の通り、ほとんどが弱い変成作用を被ったジュラ紀の玄武岩斑れい岩かんらん岩や蛇紋岩などの超苦鉄質岩類などのいわゆる"緑色岩"から構成されていますが、それに伴って三波川変成岩そのものよりも古い変成チャート砂岩泥岩などの砕屑岩を起源とする変成岩(千枚岩が産出します。
今回、2017年のJpGU終了の翌日に、友人が御荷鉾緑色岩類の砂岩・泥岩がほしいということで、群馬県藤岡市に一緒に取りに行ってきました。ついでなので、埼玉県長瀞地域の有名露頭をいくつか案内してきました。 その一部を写真たっぷりで紹介します。

現地に到着してさっそく川床に立派な露頭を発見。御荷鉾緑色岩類に伴う泥質~砂質の変成岩です。

上の川床の露頭のアップ・。三波川変成岩の に比べると少し片理の弱い千枚岩のような石です。

林道脇の小汚い露頭も観察・採集しながら進んでいく。

無事に御荷鉾緑色岩類の変成砕屑岩の試料を採集し終えたので、ひと山超えて南側の埼玉県長瀞町へ。
観光地なので駐車場も整備されているし土産物屋も賑わってました。
途中に石を売っている土産物屋があり、恐竜の化石レプリカまで。「恐竜…たしかに中生代だけど変成岩だし…(ブツブツ」などと言いながら通り過ぎました。

長瀞岩畳に入ってすぐの様子。荒々しい三波川変成岩の結晶片岩の地形。この辺りはほとんどが泥質片岩砂質片岩です。 曇っていたけど巡検にはちょうど良い天気でした。曇りでも観光客で賑わう長瀞岩畳。川下りの船の降り場になっている。乗り場はもっと上流の親鼻橋あたりにある。

ちょっと霧のかかったようで趣のある岩畳からの眺め。

埼玉県長瀞岩畳 曇りの日の様子

埼玉県立自然の博物館前の「日本地質学発祥の地」の記念碑(もちろん結晶片岩でできている)の前で記念撮影。

埼玉県立自然の博物館前の「日本地質学発祥の地」の記念碑(もちろん結晶片岩でできている)の前で記念撮影

博物館前の緑色片岩の露頭。典型的な三波川変成岩といった感じで、鮮やかな緑色がとても美しい結晶片岩である。

こちらは"虎岩"という奇岩風景で有名なスティルプノメレン片岩の露頭。

スティルプノメレン片岩と緑色片岩はミックスされたようになっている。

埼玉県 長瀞 虎岩 結晶片岩 スティルプノメレン片岩と緑色片岩はミックスされたようになっている。

スティルプノメレン片岩。場所によって面付きが結構違う。

ところどころ、スティルプノメレンがかなり粗粒の結晶になっていました。

埼玉県長瀞虎岩 結晶片岩中のスティルプノメレンの粗粒結晶

虎岩からさらに荒川上流にあたる西側へ移動し、有名な紅簾石片岩の露頭へ。 下は親鼻橋から見た紅簾石片岩の露頭の様子です。写真の左手に見えるように、民家の裏手の細道から河原の露頭へ降りられるようになっています。看板もついているので迷うことはないでしょう。

埼玉県長瀞親鼻の三波川変成岩紅簾石片岩露頭 Piemontite schist of the Sanbagawa metamorphic belt in Nagatoro Saitama Japan

ここの紅簾石片岩の露頭には立派なポットホールがあることで有名です。以前はゴミ溜まりのようになっていて汚い事が多かったのですが、最近ではジオパーク活動の影響もあってきれいになっていました。 ちなみに、"紅簾石片岩"とはいうものの、厳密に言えば赤色の鉱物は紅簾石ではなく"含Mn緑簾石"のようです。固溶体の50%ルールがあるので、赤いからと言って必ずしも紅簾石とはならないようです。

埼玉県長瀞親鼻の三波川変成岩紅簾石片岩露頭のポットホール Piemontite schist of the Sanbagawa metamorphic belt in Nagatoro Saitama Japan

JpGU翌日ということもあって、露頭で同業者(というか超有名教授御一行様)と出会うというイベントなどもありました。ともかくも、サンプルは取れたし巡検も満喫できたし、やっぱり三波川変成岩は難しいけどたのしいですね。

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