緑柱石 beryl

緑柱石(りょくちゅうせき, beryl ベリル)はBe3Al2Si6O18という化学組成を持つ六方晶系の鉱物。ベリリウム、アルミニウム、珪素、酸素からなる。 硬度7.5、比重2.7、ガラス光沢。純粋な緑柱石は無色透明だが、不純物によって青色、緑色、黄色、赤色などになる。
透明で美しい色のものは宝石として高い価値を持ち、色の違いによりアクアマリン、エメラルド、ヘリオドール、レッドベリル、ゴーシェナイトなどと呼ばれる。また、緑柱石はベリリウムの主要な原料鉱石の1種でもある。
緑柱石(りょくちゅうせき, beryl  ベリル) アクアマリン 黒水晶や長石と共生 アメリカ合衆国コロラド産
青色の緑柱石(アクアマリン)の結晶。黒水晶や長石と共生。

緑柱石の特徴

ほとんどの緑柱石は六角柱状の結晶で産し、頭の錐面を持たずに六角柱の頂点を切り落とした小さな面を持つことが多い。

緑柱石の組成は、紅柱石藍晶石珪線石の組成(Al2SiO5)に酸化ベリリウム(BeO)を加えたものに相当する。

英名のberyl(ベリル)の語源は、古代ギリシャ語で「青や緑の宝石」を意味する"beryllos"であるとされているが、この語は宝石質の 燐灰石なども含んでいたらしく、厳密にベリルだけを指していたわけではない。
和名の「緑柱石」は緑色であるエメラルドから命名されたものであるが、上述のとおり実際には緑色の緑柱石はあまり多くない。

緑柱石の産出

緑柱石は主にペグマタイト鉱床で産出するほか、高温型熱水鉱床や結晶片岩中の変成石英脈などにも産出する。

日本国内での緑柱石の産出環境は、ペグマタイトと高温型熱水鉱床である。日本国内から産する緑柱石の色は無色から水色、淡青色であることが一般的で、極めて稀に濃青色のものが見つかる。
代表的な緑柱石の国内産地を以下に列挙する。

・ペグマタイトの緑柱石産地

・高温型熱水鉱床の緑柱石産地

緑柱石の産業的利用

緑柱石は硬度が高く、また微量成分を含むことで様々な色になるため、宝石として用いられる。

また緑柱石は、ベルトラン石やフェナス石などと並んでベリリウムの主要な原料鉱石として用いられる。
単体のベリリウムは銀白色の金属で、軽量な構造部材として用いられる他、X線透過窓、原子炉の中性子減速材・反射材、宇宙望遠鏡での反射板などに用いられる。銅に0.5-3%程度のベリリウムを加えた合金(ベリリウム銅合金)は、バネなどの応力や歪みが繰り返しかかっても形状を維持する必要のある部品に使われ、身近なものでは高級な打楽器や高級スピーカーの振動板に用いられる。
なお、単体の金属ベリリウムは細胞組織に対して腐食性を持ちヒトを含む様々な生物に対して有毒であるが、その化合物である緑柱石は化学的に安定なため、身につけたり舐めたりしても害悪は無い。

関連項目

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