バーネス鉱 birnessite

バーネス鉱(ばーねすこう, birnessite, バーネサイト)は (Na,Ca)0.5(Mn4+,Mn3+)2O4 · 1.5H2Oという組成を持ち単斜晶系の酸化鉱物の1種。
バーネス鉱(ばーねすこう, birnessite, バーネサイト)
バーネサイトを主成分としていると思われるマンガンノジュール
画像幅約5cm
沖縄県読谷村

バーネス鉱の特徴

バーネス鉱(バーネサイト)の組成式 (Na,Ca)0.5(Mn4+,Mn3+)2O4 · 1.5H2Oは酸化鉱物に結晶水が着いた形をしているが、結晶構造の観点から水酸化鉱物として扱われることが一般的である。

バーネス鉱の硬度は1.5、比重3.4である。バーネス鉱の色は黒~黒褐色、濃褐色などで、多くの場合、土状や粉状、被膜状などで産するため、肉眼的な結晶は見られず、また他の鉱物と混ざっているため色や見た目の形態などによる区別は極めて難しい。他のマンガン酸化物の鉱物と比べると褐色寄りの色を呈すると言われている。

バーネス鉱の結晶構造は、8配位のマンガンー酸素八面体が層状に並んだものを骨格として持ち、フィロマンガナイト(層状マンガナイト)として扱われる。バーネス鉱の合成産物として層間距離から7Åマンガナイトという呼称がある。

バーネス鉱の特徴

バーネス鉱(バーネサイト)はしばしばNa4Mn14O27 · 21H2Oという組成を持つと考えられているブーゼライトBuseriteの脱水生成物として生じることがある。ブーゼライトは水中でのみ安定で空気中では脱水によりバーネス鉱に変化すると考えられており、その化学組成や結晶構造の特定が困難であることから、いまだ正式に鉱物種として記載されていない。ブーゼライトも層状マンガナイトであり、層間距離から10Åマンガナイトと合成産物の名称で呼ばれることもあった。 かつては轟石(トドロカイト)とブーゼライトが混同されることもしばしばあったことに注意が必要である。

バーネス鉱グループ(バーネサイトグループ)の鉱物として、ランシー鉱高根鉱がある。

バーネス鉱の産出

主に低温で生成するマンガン酸化物の化学沈殿物の構成鉱物として産出する。

バーネス鉱(バーネサイト)の産出場所として、温泉沈殿物や河川、湖沼におけるバイオマット、砂漠のレキ表面を覆うデザートバーニッシュ(desert varnish)、またマンガン鉱床の風化帯などが挙げられる。これらの中にはもともと現地ではブーゼライトとして生じていたものが採集後にバーネス鉱に変化してしまったものも含まれていると考えられる。 なお、深海底の産するマンガンノジュールやマンガンクラストを分析するとバーネス鉱が主成分となるが、水中ではもともとブーゼライトを主成分としておりバーネサイトは人工的に生じてしまったものである。

バーネス鉱の産業的利用

バーネサイトが多量に集積して産出する場合はマンガンの鉱石として利用される。深海に産するマンガンクラストやマンガンノジュール(マンガン団塊)では、マンガン以外にコバルトやニッケル、希土類元素などを吸着によって濃集している場合があり、将来的に資源として利用する可能性が模索されている。


現世の海洋底に広範囲かつ大量に分布し、現在も成長しつづけるマンガン鉱床は、貴重なレアメタル資源であるとともに、海洋での物質循環や地球環境の変遷を明らかにする物質として注目されている。

関連項目

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