氷晶石は、ガラス状の無色、白色、淡褐色、淡赤色、灰黒色などを呈する。 モース硬度は2.5~3で、比重は約2.95~3.0である。 屈折率は水に近い約1.34と非常に低い。このため、半透明から透明の氷晶石は水に浸すと見えなくなる。また、氷とよく似た見た目となるため、この名称がつけられた。
多くの場合、氷晶石は塊状で産するが、まれに自形結晶をなすことがある。
氷晶石の自形結晶。画像幅約20 cm。Loc. グリーンランド イビクドゥト。
氷晶石はペロブスカイト型結晶構造を持ち、ペロブスカイトスーパーグループに属し、また氷晶石サブグループをなす。氷晶石サブグループに属する鉱物は以下のものがある。
閃長岩質ペグマタイトの末期生成物として産する。氷晶石のタイプロカリティは、西グリーンランドのイビクドゥト(Ivigtût、現在のイヒドゥート(Ivittuut))であり、1799年に発見された。タイプロカリティのグリーンランドの他、ロシア、スコットランド、カナダ、アメリカ、ナイジェリアなどで産する。
氷晶石は蛍石やクリオリシオナイト、プロソパイト、などのハロゲン化鉱物の他、菱鉄鉱などの炭酸塩鉱物とも共存する。氷晶石の分解物として、トムセノライト thomsenoliteというハロゲン化鉱物がある。
白色の氷晶石と褐色の菱鉄鉱からなる岩石。画像幅約15cm。Loc. グリーンランド イビクドゥト。
氷晶石は、かつてはアルミニウムの精錬に必要な融剤として採掘、利用された(1886年に発明されたホール・エルー法というアルミニウムの製錬法)。 現在では、アルミの精錬にはより人工的に合成された氷晶石が用いられている。