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McCulloch, M. T., & Bennett, V. C. (1994).
Progressive growth of the Earth's continental crust and depleted mantle: geochemical constraints.

Geochimica et Cosmochimica Acta, 58(21), 4717-4738.

"地球の大陸地殻と枯渇したマントルの連続的な成長: 地球化学的制約"

大陸地殻成長史研究レビュー_地球惑星科学_地球史解読

論文概要

大陸地殻・枯渇マントル・より始原的マントルの3つのリザーバーを仮定したモデルは、現在および進化途上の地殻・マントル同位体組成の両者に対して基礎的な説明に用いられてきた。大陸地殻の成長率は入力パラメータとして同時に枯渇マントルリザーバーの成長と進化の制約に用いられる。 このモデルでは、大量の大陸地殻のマントルへのリサイクルは重要ではないプロセスであるとみなされ、初期太古代マントル内の追加的な肥沃なリザーバーも存在しないとされる。 大陸地殻・枯渇マントル・より始原的マントルの3つのリザーバーを仮定したモデルは、現在および進化途上の地殻・マントル同位体組成の両者に対して基礎的な説明に用いられてきた。大陸地殻の成長率は入力パラメータとして同時に枯渇マントルリザーバーの成長と進化の制約に用いられる。このモデルでは、大量の大陸地殻のマントルへのリサイクルは重要ではないプロセスであるとみなされ、初期太古代マントル内の追加的な肥沃なリザーバーも存在しないとされる。 この比較的単純な、枯渇マントルの量が増え、そこから漸次大陸地殻が成長していくモデルは、太古代の枯渇マントルを特徴付けるεNd値や、ストロンチウムSr・ネオジミウムNd・ハフニウムHf・鉛Pbの同位体システム、大陸地殻と枯渇マントルの広範囲に及ぶ微量元素の供給を説明可能である。例として、MORBやOIBに見られる始原的でないRb/Cs比、Nb/U比、Th/U比や大陸地殻とマントルのSm/Nd比が挙げられる。Re-Os同位体システムは初期太古代における玄武岩質地殻の形成に最も敏感であり、マントル内に存在する苦鉄質・超苦鉄質の地殻の量に対して決定的な制約を与える可能性を持つ。 現代のMORBにおける放射性同位体比を説明するためには、スラブ溶融よりもスラブ脱水の結果として起こるウランのマントルから地殻への輸送の総合的な効率は太古代から際立って減少しており、想定が必要とされている。太古代以降の時代において、熱水変質を受けた海洋地殻のリサイクルは、マントルの鉛同位体システムに重大な影響を持っている可能性が高い。 本論文のモデルでは、エピソディックで急速な地殻形成イベントに伴って枯渇マントルの体積は段階的に増えたと推定された。観測されている地殻年代頻度分布パターンからは、~3600 Ma, ~2700 Ma、1800 Maに高いεNd値を持った地殻形成が起こったと推定されている。これらを踏まえて、我々の第一次近似計算では、地殻は以下のようなマントル深度から形成されたとモデル立てた;
 4500~3600 Ma: 深さ220 km以浅 マントルの~10%
 3600~2700 Ma: 深さ410 km以浅 マントルの~20%
 2700~1800 Ma: 深さ660 km以浅 マントルの~30%
 1800 Ma~現在: 深さ800-1000 km以浅 マントルの~50%
このタイプの地殻と枯渇マントルの成長を伴うモデルでは、一般的に上部マントルが同位体や微量元素の組成を時間とともに一定になるまでバッファーする効果を持つ一方で不適合元素に枯渇した組成を持つようになる。

解説

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