東京都奥多摩町鋸山鉱山のマンガン鉱石中に見られる辰砂
Cinnabar in manganese ores in Nokogiriyama Mine, Okutama Town, Tokyo, Japan
2017/05/07
巡検の概要
鋸山鉱山(のこぎりやまこうざん, Nokogiri-yama Mine)は東京都奥多摩町にある低変成マンガン鉱床です。地質学的には、秩父帯のジュラ紀付加体中にあるチャートに含まれていた海底マンガン堆積物が変成したもので、関東山地付近一帯の他の小規模なマンガン鉱山と同様と考えられます。 2017年ゴールデンウィーク、山梨と奥多摩の境目にあるペグマタイトの鉱物産地探索に行こうと思ったら目的の林道が閉鎖されており、急遽予定変更して簡単に行ける産地ということで行ってきました。 水晶ザックザク掘るぞー!!って気合入れて出発したのに低変成マンガンになってしまい、かなりテンションは落ちてました。しかし参加者全員がとりあえずは辰砂を取ることができ、「すっぱいぶどう」ならぬ「酸味があってこれはこれでおいしいぶどう」などという謎の名言が誕生しました。
↓鋸山鉱山での採集は、奥多摩の林道からすぐ近くの林の中のズリを拾う感じです。下の写真は林道から林の中へ入るところの様子です。
産地のおおよその位置へのGoogle mapリンクはこちら→https://goo.gl/maps/2o6K8UrNnaS2。
↓林の中を進んでいくと、灰色や赤色のチャート、茶色い砂岩などに混ざって、真っ黒いマンガン鉱石のズリが転々と見られます。
↓メインのズリの様子。斜面に転がるマンガン鉱石を叩いていく。 このあたりに坑道や露頭などは見つけることができませんでした。
↓かき集めたマンガン鉱石ズリの様子。叩きながら歩き回るのも非効率なので、マイかごにマンガン鉱石を拾い集めて、腰を落ち着けて小割りしながら辰砂を探していきます。
↓赤い染みのような辰砂がマンガン鉱石の中に見つかります。菱マンガン鉱やいわゆるカリオピライトなどからなる、関東山地によくある普通のマンガン鉱石ですが(たとえば埼玉県大宮鉱山など)、小割していくと結構な高頻度で辰砂を見つけることができる点だけはこの産地の良いところかもしれません。
↓赤い染みのような辰砂とは言え、拡大してみるとけっこう結晶性の良い辰砂であることがわかります。並行連晶のスジスジもよく見えて、「これはこれで良い」採集品となりました。
あとは、チャートが変成してできた赤碧玉も採れました。クラックが多くて碧玉と言ってよいのか微妙なところのものですが、悪くない品です。研磨してみようかな。
せっかくのゴールデンウィーク、必死に満喫したような気分になろうとはしたもののペグマタイトの夢やぶれてとても残念でした。いつかリトライしたいものです。