藍鉄鉱の本来の色は無色、白色、淡緑色、淡青色であるが、空気中で直ちに濃い藍色に変化する。そのため、通常目にする藍鉄鉱の標本は藍色である。
また、透明度の高い藍鉄鉱の結晶は光を透過させると青緑色に見える。
大きな粒となった藍鉄鉱の結晶はガラス光沢を持つが、微細結晶の集合、粉末状、被膜状などで産することも多く、その場合は光沢はあまり無い。
藍鉄鉱の硬度は1.5~2と柔らかい。
藍鉄鉱の主な産出場所として、堆積岩の中、熱水鉱床、リンに富むペグマタイトが挙げられる。
堆積岩中の藍鉄鉱は、陸水中で形成した泥岩などの中で続成作用によって生じたものである。藍鉄鉱は化石を置換して産することもしばしばある。
熱水鉱床の藍鉄鉱は、リンに富む母岩の中に貫入した熱水によって初生的に形成されるものが多い。このような例として、栃木県足尾鉱山が挙げられる。
リンに富むペグマタイトのなかでは、藍鉄鉱は最も普通に産する鉱物の1つである。
藍鉄鉱(ビビアナイト)を粉末にしたものは、顔料として使用可能であることが古代ローマの時代から知られていたが、油絵での使用はかなり限られている。 フェルメールの『取り持ち女 The Procuress 』では、前景の絨毯の青灰色の部分に藍鉄鉱を原料とした顔料の使用が発見されている。