コランダムはダイヤモンドに次いで硬い鉱物である。コランダムはモース硬度の値9の指標鉱物とされる(ダイヤモンドは10)。なお、絶対硬度(ヌース硬度)では、コランダムは約2000、ダイヤモンドは約7000、石英は約800程度といわれているある。
コランダムの色は、純粋なものでは無色であるが、不純物などの影響で白色、灰色、黄色、青色、紫、ピンク、赤色、オレンジ色、緑色など様々な色になる。
コランダムは赤色は3価のクロムイオン(Cr3+)がアルミニウムイオン(Al3+)を置換することで引き起こされるd-d遷移(配位子場遷移 ligand field transition、LF遷移とも。錯体の中心金属のd軌道電子準位が配位子場によって分裂し、この準位間で遷移する過程)、黄色は3価の鉄イオンのd-d遷移によって引き起こされる発色である。一方で、コランダムの青色は4価のチタンイオン(Ti4+)と鉄イオン(Fe2+またはFe3+)の2種のイオンが含まれることでこれらのイオン間での電荷移動遷移(Change Transfer transition, CT遷移とも。分子の異なる部分に局在した軌道間の電子遷移)によって、それぞれ引き起こされる発色である。
一般に、電荷移動遷移はd-d遷移よりも低い濃度でも強く発色する。したがって、ルビーのような濃い赤色の発色をするコランダムでは数%オーダーのクロムイオンを含んでいるが、サファイヤのような青色のコランダムは0.01%のオーダーのチタンイオンと鉄イオンが含まれていれば十分発色を認識できる。
コランダム(ルビー)の六角柱状結晶 画像幅約2 cm Loc. インド マイソール
コランダムは主に変成岩や熱水変質した岩石の中に産出する。
赤色のコランダムはルビーとして、青色などその他の色のコランダムはサファイアとして、宝石に用いられる。特に赤色の濃いルビーは高価な宝石である。
エメリーと呼ばれる