02 鉱物趣味をはじめるには

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planetscope 鉱物コレクションについて 埼玉県長瀞町の磁鉄鉱自形結晶を含む緑泥片岩(緑色片岩)
planetscope館長がはじめて採集した鉱物標本(磁鉄鉱)。2005年8月5日。

山で、河原で、海岸で。その美しさから、思わず持ち帰りたくなる石を拾う。
あるいは、博物館や標本店などといった場所で、珍しい、美しい石に出会って感銘を受ける。
こういう瞬間に、あなたの目の前へ鉱物趣味の道は開けている。

石によっては、結晶がハッキリとわかるものから、色の違う粒が集まっているように見えるもの、あるいは1つの均一な塊になっているもの、様々である。 通常の"石"は、複数の物質が集まって1つの塊になっている。それら天然の物質を、"均質な化学組成と結晶構造"という点で"種類"にわけたもの、それが鉱物である。

鉱物趣味の楽しみ方は人それぞれである。
ともかく鉱物の種類をたくさん集めたい人、お気に入りの鉱物を数点だけ所有する人、好きな種類の鉱物ばかり集める人……
鉱物の集め方も大きく分けると2通りある。すなわち、「自分で山や河原や海岸で鉱物採集をする」ことと「鉱物標本を取り扱う店から買い集める」ことである。
自分の興味に合わせて、自分のスタイルで鉱物を楽しんだら良いだろう。 普通、鉱物趣味を続けているうちに、知識もコレクションも増えていくため、段々とたのしむスタイルも変わっていくものである。 そのように興味が深まっていくのは素晴らしいことだ。より深く、より濃く、鉱物を楽しんでいくことができるようになるだろう。

次のページからは、野外で鉱物採集をするための方法や、専門店で鉱物標本を買う方法、どうやって鉱物の知識を得ていくか、などを紹介していく。

このページの残りでは、鉱物趣味に対するひとつだけルールについて書いておこう。「鉱物標本は人類の財産であるから大切に保存しなければならない」ということだ。
鉱物趣味を「単なる個人の趣味」で片付けないで、たとえアマチュアの1人であっても、自然科学研究の一端を担っているのだという意識を持ってほしいと強く願う。
日本だけでも1000人以上の地質研究者がいるとは言え、広い自然をカヴァーするにはまったくもって少ない人数である。
アマチュアの趣味としての活動が、研究の進展におおいに貢献することはしばしばある。 日本での近年の新鉱物(新種の鉱物)の発見の多くは、アマチュアの愛好家の活躍が元になっている。

「自分の見つけたお気に入りの石」が「自然科学研究に使える鉱物標本」となるためには、最低限、地球上のどこでどのように採られた鉱物であるかは可能な限り詳しい情報を残すことが必要だ。
そして、自分のものとなった石は責任を持って管理するようにしよう。
石と情報は「常に」「誰でも」リンクさせられるようにしなけらればならない。ある日自分が突然の死を迎えたり宇宙人に連れ去られたりしても、集めた鉱物標本は残された人類の資産として活用できる状態にしておくことが望ましい。 不要な鉱物標本は同好の仲間に譲ったり、教育用の標本としての活用ができないかをまずは考えよう(かといって他人にあんまりにもしょうもない石を押し付けないように)。
捨てる場合は都市部の空き地や大きな河川などといった場所を選ぶようにして、その場で産した鉱物標本と勘違いされない場所に捨てる必要がある。

また、敢えて言うまでもないことであるが、いわゆるパワーストーンのようなオカルト趣味は、自然科学に立脚する鉱物趣味とは全く別物である。
あのような非科学的で人類の退行に寄与するような趣味が隣接領域に存在することは我々にとって非常に厄介な問題である。
本題から逸れるのでここではこれ以上深入りしないが、planetscopeにアクセスしていただけるような賢明な諸氏は、ああいったものに惑わされないように。

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