2020 山口県山口市藤尾山吉南鉱山の水晶
Kichinan Mine, Mt. Fujio-yama, Yamaguchi City, Yamaguchi Pref., southwest Japan
巡検の概要
山口県山口市南部の海岸沿いにある藤尾山(ふじおやま)には、吉南鉱山(きちなんこうざん)というタングステンの原料となる鉱石を採掘していた鉱山があった。タングステン鉱石は鉱物としては鉄重石・マンガン重石(いわゆる"鉄マンガン重石")と呼ばれるものである。
吉南鉱山は1914年から1940年まで稼働していた。現在では藤尾山は公園として整備されているが、吉南鉱山の坑道が残されている他、藤尾山下の周防大橋近辺の海岸では小さなものではあるが頭付きの透明な水晶を観察することができる。
巡検の様子
↓周防大橋下の海岸の様子。
↓周防大橋下の海岸の様子。その2。良い天気であった。干潮の時間を狙って行った方がより多くの石を見ることができる。
↓この海岸には熱水鉱脈のカケラである石英の塊が多数落ちています。これらの中から水晶を探します。
↓一応この海岸には露頭もある。表面は真っ黒になっているが…
↓この花崗岩の表面を削ってみると、中部地方には典型的な桃色のカリ長石を含んだ花崗岩であることがわかる。
↓海岸から離れて藤尾山公園の山頂周りにある公園へ移動。駐車場や公衆トイレ、子ども用のローラー滑り台などの遊具も整っていて賑わっていた。看板は藤尾山周辺の観光案内だった。
↓駐車場から山頂へ向かう遊歩道の縁石を見ると…
↓石英脈が多数入っており、一部には不完全ながら晶洞として水晶の見られる場所もあった。
↓藤尾山公園の駐車場から山頂への遊歩道は、途中で吉南鉱山第一水平坑道の前を通る。
↓吉南鉱山第一水平坑道の前の看板。
この看板に記載の文章は以下の通り
「吉南鉱山について
ここの藤尾山の頂上付近には、水平坑および露頭堀が数箇所あった。これは大正三年頃より昭和十五年頃までの間(途中数年間休坑)タングステン鉱石の鉄マンガン重石を採掘した吉南鉱山跡である。
鉄マンガン重石は、硬度五、比重七.二七と大きいことから、ここでの採取方法は、手に持って重いもののみを選び出して粉砕後水で選別し出荷され、電球のフィラメントなどに利用された。
このたび公園を開設するにあたり、頂上の水平坑及び露頭堀跡は危険防止のため閉塞または土砂で埋戻したが、二箇所の坑の入り口は鉄格子を設置して保存してある。」
↓吉南鉱山第一水平坑道のアップ。
↓吉南鉱山第一水平坑道の中を覗いてみた様子。しっかりとした雰囲気の穴で、中には石英脈の着いたように見える石もある…?
↓藤尾山公園の頂上に行くとそこそこ見晴らしが良いが、それよりもローラー滑り台などの遊具を目当てにした家族連れなどのほうが賑わっている。 頂上の付近には露頭もあり、数cmから10cm超の石英脈が多数見られる。
↓藤尾山頂上の付近の露頭中の石英脈のアップ。残念ながら鉄マンガン重石の様子はどこにも見られなかったが、一部には不完全ながら晶洞が開いている。