2017 福岡県平尾台東谷鉱山の結晶質石灰岩(大理石)の採石場
Hirao-dai crystaline limestone mine, Fukuoka, Kyushu Is., Japan
巡検の概要
平尾台は福岡県北東部の北九州市小倉南区、行橋市、香春町、苅田町、みやこ町にまたがって広がる結晶質石灰岩(大理石)からなるカルスト台地です。
その中には鍾乳洞も多数存在し、キャンプ場なども整備されており観光地として有名なスポットです。
一方で、平尾台では、結晶質石灰岩を採掘する東谷鉱山が三菱マテリアルによって、小倉鉱山が住友大阪セメントによって、それぞれ操業されています。
平尾台にて露天掘りで結晶質石灰岩を採掘し、地下のベルトコンベアで苅田町の海岸沿いにある三菱マテリアル九州工場へ送られ、セメント製品の製造に用いられています。
今回は、九州大学で行われた国際シンポジウムPrecambrian World2017の巡検の見学ポイントの1つとして東谷鉱山に行きました。鉱山の位置へのGoogle mapのリンクはこちら。
フィールドノート
↓東谷鉱山に入ってすぐ、露天掘りを上からパノラマで。画像はクリックで拡大表示されます。
平尾台の結晶質石灰岩(大理石)の源岩である石灰岩は、古生代石炭紀からペルム紀(約3億6000万-2億5000万年前)の温暖な南の海の海山の上ででサンゴ礁として堆積したものです。
それがプレート運動によって将来日本列島となる沈み込み帯へともたらされ、付加しました。
石灰岩を再結晶させ結晶質石灰岩(大理石)へと変成させた火成活動は、古第三紀のドレライト脈です。東谷鉱山の結晶質石灰岩の中にも幅数cmから数十mのドレライト脈が多数貫入しているのが観察されます。
↓先程のパノラマの中から、対岸の様子を拡大。白い結晶質石灰岩(大理石)の中に、黒色のドレライト脈がほぼ垂直に何条も入っているのがよく分かる。
↓露天掘りピットの最下部へバスで移動し、現場の方から説明を受ける巡検参加者。 国際色豊かな巡検なので、みんなもう石を目の前にして説明など落ち着いて効いてるわけもなく、拾ったりハンマーで叩いたり。
↓白い結晶質石灰岩(大理石)の中に、黒色のドレライト脈がほぼ垂直に何条も入っているのがよく分かる。
↓説明が終わり、思い思いにハンマーを奮って結晶質石灰岩を観察する巡検参加者たち。
↓ドレライトの岩脈の様子。ガレの向こう側だったのでスケールを入れられなかったのですが、崖の高さがおよそ5mくらいです。
↓切り出されている結晶質石灰岩のアップ。変成度・再結晶度が様々に変化している。
↓有機物が少なく白っぽい結晶質石灰岩。
↓石墨が生じている変成度の高い結晶質石灰岩。
↓転石の中にドレライトの細い数cmの脈が入っているものも見られました。
東谷鉱山の見学の後、観光坑道のある鯛生鉱山へと行きました。
次の鯛生金山観光坑道の様子はこちらからリンク。