2013 アイルランド地質調査
Ireland Geological Survey
2013年7月 ~7月に東京工業大学丸山研のアイルランド地質調査の様子です。
この後、船でイギリスのウェールズに渡りました。続きはこちら「ウェールズでの地質調査2013」。
調査地の概略
・ナフイー湖Loogh Nafooey周辺のカンブリア紀付加体
海洋プレート層序がとても良く見られました。
・クリュー湾南岸Clew Bay south Coastのオルドビス紀付加体変成岩
WestportとLoisberghの間の海岸に露出してる露頭と、南岸からフェリーで渡ったClare島
Clare島は釣り船をチャーターしてガケを連続的に写真撮影までしました。
・クリュー湾北岸Clew Bay North Coastのダルラディアン大陸衝突型変成岩
本土から橋でつながっているAchill Is. アチル島
その南に位置する今は無人島となったAchillBeg Is.アチルベッグ島
調査日程
・7月13日
10:35(JST)成田発
アムステルダム経由で現地時間の夕方ダブリン着
・7月14日
アイルランド東部にあるダブリンから北西部のクリュー湾Clew Bay南部のコテージへ移動
・7月15日
調査初日
クリュー湾から南へ kmほど行ったナフイー湖南東側でカンブリア紀付加体の海洋プレート層序がしっかりと見える露頭を発見。
枕状溶岩、赤色層状チャート、マフィック堆積岩と一連の層序がひとつになっており、フレッシュに露出している様は見事である。
珪長質の堆積岩を欠くことから、海洋性島弧であったことが伺える。
周辺のマッピングやサンプリングをするとともに連続サンプリング開始。
・7月16日
前日からの続きで、海洋プレート層序の連続サンプリングの続き。ツルツルカチカチの露頭なのでかなり苦戦…
・7月17日
ナフイー湖南側の山に登って降りて、緑色岩類の採集。頂上付近では美しい枕状溶岩がたくさん見られた。
海洋底の熱水変成作用の研究用にチップサイズのサンプルを沢山採集した。
・7月18日
そろそろ疲れてきたので午前中はお休み。
午後はコテージから近いクリュー湾南岸の露頭を見て周るものの、砂質片岩・泥質片岩ばかりでめぼしいものは見つからず。
・7月19日
クリュー湾南岸のやや内陸部でポコポコと出ている露頭を見て回る。先行研究のマップの確認とサンプリングなど。
・7月20日
2時間ほどかけてクリュー湾北岸のアチル島Achill Is.へ。ダルラディアンの変成岩を見に行く。
ダルラディアンのメタベイサイトの中から藍閃石が出るとのことで(Gray and Yardley,Nature 1979)、それを探して回る。
クルマを停めて海岸の岩場を歩けど歩けど砂質片岩・泥質片岩ばかりでメタベイサイトは見つからず、
と思いきや、クルマを止めた場所の目の前の波打ち際にドデーンと出ているではないかw
長さ~3cm程度の立派な緑簾石Epidoteの脈がメタベイサイト中に含まれており、そこのインクリュージョンとして藍閃石が産するらしい。
薄片観察しないとわからない顕微的なものなので、これから薄片ができてからが楽しみである。
・7月21日
Achill Is.のすぐ南にあるAchillbeg Is.へ
地元の漁師さんにボートを出してもらって、今は無人島となったAchillbeg Is.へ行く。
・7月22日
クリュー湾南岸の西端からフェリーでクレア島Clare Is.へ行く。
本土の南岸とほとんど同じような岩石が露出していたが、どうやらメランジュが元となった変成岩のようである。
しかし露頭が少なくあまり詳しいことまでは分からなかった。
クレア島は海岸が楽さ100mを越えるような断崖絶壁の多い場所で、とても美しい光景の島でした。
・7月23日
前日はクレア島に上陸してみたものの、露頭が少なくよくわからないところもあった。
そこで地元の漁師のボートをチャーターし、クレア島の断崖絶壁の岩壁を海上から観察する。
これだけ断崖絶壁なら、横から見れば地質断面図が完璧に見れる、と期待したものの、風化や生物的な染色で岩がみな黒くなっていてこれもよく分からなかった…
・7月24日
採集したサンプルの発送。日本へ送る前に、イギリスのレスター大学へ一度送る。
・7月25日
クリュー湾を後にして、ダブリンへと戻る移動の1日。
・7月26日
ダブリンからフェリーでウェールズのHolyheadへ、2時間ほどの船旅
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