緑色の雲と竜巻の関係?

竜巻の前後には、雲が緑色に染まるという特異な現象が見られることがあると言われています。 これは必ずしも竜巻に伴われるものではなく、前兆現象として認定するには不十分なものですが、 2014年6月29日、竜巻注意情報が発令されていた東京都太田区において自分でも緑色の雲が確認することができ、 さらに竜巻発生には至りませんでしたが、メソサイクロンという現象が見られたので、ここに展示します。

2014年6月29日の例

竜巻(メソサイクロン)と緑色の空と雲

2014年の梅雨前半は、北からの寒気が強く不安定な空模様が続いており、しばしばゲリラ豪雨のような激しい雷雨に見舞われました。 その中でも6月29日は東京都23区や多摩地区などで竜巻注意情報が発令されたなど、とても不安定な大気状態でした。 29日は西から次々に積乱雲が流れてきており、なかでも16時頃に竜巻注意情報が発令される発達した積乱雲が近づいてきました。

16時7分分厚い雲が近づいてきて、雷が鳴り響いていたので、屋上に出てみた。東京工業大学石川台地区の建物の屋上から観察したものになります。 まだ雨は降っていない。雷と風が段々強まってくる。上の写真は石川台より北側、東京都心方面を覗いたもの。

以下、同じく東京工業大学石川台地区の建物の屋上から観察を続けた写真を紹介します。

竜巻(メソサイクロン)と緑色の空と雲
同じ場所から、西側、多摩方面を見たもの。異様に高度の低い茶色を帯びた雲が風で吹きまわっていた。この辺りから空の背景が緑色を帯び始める。

竜巻(メソサイクロン)と緑色の空と雲
  北側の空が見る見るうちにエメラルドグリーンのような色に染まっていく。 本当に、気が付くとサーッと染まっていくような感じ。雲の薄い明るいところが鮮やかなエメラルドグリーンになる。 雷が落ちているのは雲の厚いところではなく、境界の少し薄くなった東側、写真だと右側、で多く見られたのも不思議であった。

竜巻(メソサイクロン)と緑色の空と雲
そのころ西側では異様に低く分厚い雲が渦を巻き始めた。背景の雲はこちらでも緑色を帯びている。 目視でも手前と奥で逆向きに雲が流されているのがわかった。 雲の流れによって可視化されていた範囲では渦の直径はおよそ数百mくらいであるように見えた。 これはいよいよ竜巻になるのではないかと、このあたりで恐怖感を抱いた。 なおかつ、この渦は西から東へ、つまりこちらに向かって近づいてきた。

この渦の様子は動画でYouTubeに載せました。デジカメ買ってはじめての動画撮影だったのでヘタクソですが…参考までに。

竜巻(メソサイクロン)と緑色の空と雲
もう一度、北側を見た様子。緑色の空が広がっている。このあと、ゲリラ豪雨が襲ってくると、辺り一面真っ白にガスってしまい、メソサイクロンも緑色の空も確認できなくなってしまった。 雨が上がると虹が見えるなど、風は強かったもののすっきりと晴れあがった。

緑色の空、雲の原因はなにか

未だ、確たる相関は確認されていないですが、竜巻の発生にともなって、今回のような空がエメラルドグリーンのような緑色に染まる現象が経験的に知られています。 緑色の空の発色機構は、清流の水がエメラルドグリーンに見えるのとほぼ同じであると考えられます。 液体の水は本来なら無色透明な物質ですが、ある程度の量になると青みを帯びて見えます。 これは水分子の倍音振動が赤色や緑色の光の成分を吸収するためです。 ここに、微量の黄色味を帯びたチリなどの不純物がまじると、青+黄→緑という原理で、清流の緑色が発色されます。
今回のような緑色の空も、空気中の水滴がある程度の量になり、またチリの量などとの兼ね合いで調度よい条件が満たされることで、 緑色の空が発生するのだと考えられます。
それにしても、竜巻の発生しうるような発達した低気圧の時に集中的に見られるというのも不思議なものです。 実際に見てみると、本当に清流を思わせるような鮮やかなエメラルドグリーンの空で美しくも不気味な感覚でした。 これらの定量的な研究はこちらの論文(英語)などを見つけましたので、興味ある方はご参考にどうぞ。

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