広島県帝釈峡- 石灰岩地質地形のジオサイト見学part2
神竜湖(神龍湖、しんりゅうこ)
2012年8月12日訪問
○神龍湖の概要
神龍湖は「しんりゅうこ」と読み、広島県の帝釈川上流に建設された帝釈川ダムによる人工湖である。
帝釈川ダムは中国電力が管理する水力発電用ダムで、高さ62.43メートルの重力式コンクリートダム。帝釈石灰岩(石炭紀~二畳紀。ホットスポット海洋島にできたサンゴ礁が付加したもの)の台地を刻んで流れる帝釈川の深い谷を利用することにより、縦長でコンパクトなダムで大きな貯水量を得ている。1924年の完成の歴史のあるコンクリートダム。2002年からダム再開発事業を実施し、ダム本体および発電能力を増強している。
神龍湖は比婆道後帝釈国定公園内にあり、2005年には地元の推薦によって財団法人ダム水源地環境整備センターが選定する「ダム湖百選」に選ばれた。
観光遊覧船が運行されており、Part1で紹介した上帝釈峡の奇岩地形とともに、帝釈峡観光の重要な要素となっている。
○神龍湖付近の見学
・駐車場付近の様子
観光遊覧船の乗り場へ看板に従って車を走らせると、自動的にこの駐車場へ誘導され、駐車料金400円を支払うこととなる。
駐車場周りには上帝釈峡同様に、レトロな観光地のおみやげ屋街が広がる。また、湖畔には旅館もあるようである。
一部には廃墟もあるようで、心霊スポットや廃墟マニアの間では有名だとか…? いずれにしても、帝釈峡は味のあるレトロな雰囲気を楽しめる。
また、上の写真に写っているおみやげ屋にて、体長1mを超す大きなオオサンショウウオが水槽に入っているのを見学することができる。
殆ど動かないので置物かと疑うくらいだが、行きと帰りではポーズが変わっていたのでやはり生きているようであるw
水槽には数匹の小魚が餌として入れられているが、オオサンショウウオが捕食しているところを見られる人は数十年に数人程度と、極めて稀であると、おみやげ屋のオジサンは話していました。
オオサンショウウオは夜行性なので、閉店間際の夕暮れ時に行けば、もしかしたらチャンスがあるかもしれませんね。
↓オオサンショウウオ。初めて生でみると大きさに圧倒される。
まさにデボン期の古生物"イクチオステガ"や"アカンソステガ"といった初期両生類の「生きた化石」のような姿である!
神龍湖の観光遊覧船
駐車場から小さなトンネルを通り抜けたところに観光遊覧船の桟橋がある。乗船料は1,000円である。観光地価格なのでこのくらいであろう。むしろ安い。
船は古めかしいエンジンの臭いをさせながら動き、内部は畳座敷になっている。
観光遊覧船に乗ることで、神龍湖周辺の石灰岩地形や帝釈川ダムをよく見ることができる。
↓帝釈川ダムの様子。ダム自体の規模は大変小さいが、その奥にある石灰岩の断崖絶壁(「太郎岩」と呼ばれる)が大迫力であった。
↓ダムから伸びる取水設備への道
↑神龍湖の辺りの建物と、湖にかかる赤い橋。石灰岩の灰色と木々の緑に、赤色の橋がよく映える。
↑石灰岩の絶壁。絶壁の途中に石灰洞があるところがあり、昔は隠れて賭博や売春をやるために用いられたとか。
人目を避けるためとはいえ、むしろどうやってアクセスしたのかが気になるほどの絶壁であったが…
帝釈峡は全体的にレトロで見所はあるとはいえ派手ではないため、栄えているとは少し言いがたい観光地ではあるが、逆にややひっそりと雰囲気を楽しみ、石灰岩地形を楽しむという点では良い場所であった。