2016 神奈川県城ヶ島の地層観察巡検
Jogashima Island, Kanagawa Pref.
概要
神奈川県城ヶ島は三浦半島の南端に位置する小さな島です。
城ヶ島は見晴らしの良い磯場で、公園、マグロ丼、温泉などがあることから観光地としても整備されています。
磯場といっても多くの部分は満潮でも水面から顔を出している良い露頭が広がっていることから、関東近県の大学の地球科学系学科の多くはここで巡検の野外授業をします。
この展示は2016年5月に行った神奈川県城ヶ島の地層観察巡検の様子です。
島の西側のスランプ構造と生痕化石、南側の褶曲、東側のコンボリュート葉理の写真を紹介します。
過去の城ヶ島関連の記事(以下2つともplanetscopeブログの記事へのリンク)
・2011年:城ヶ島でビーチコーミング
・2015年:城ヶ島の地層観察
フィールドノート
いきなり島の端っこの露頭ですが、コンボリュート葉理です。場所はこの辺(Google mapへのリンク)。
コンボリュート葉理とは、堆積直後の地層中の水によって、ラミナが流動変形して波状になったものをいいます。地層中に間隙水が取り残されることによって引き起こされる堆積構造で、タービダイトなどの急速に堆積した地層に特徴的に見られます(保柳ほか, 2004)。
次は城ヶ島のメインの(?)露頭。南側の海岸。黒色のスコリア質玄武岩と黄白色のシルト岩の互層が美しい。奥に見えているのは馬の背洞門。 この辺から東を見た様子。
この海岸はゆるやかに褶曲しているのがわかる。公衆トイレ脇に丘へ登る小道があるので、そこを登ったところ(この辺)から海岸を見下ろすと褶曲している様子がよく見えます。
このあたりの砂岩やシルト岩の露頭では生痕化石がそこらかしこで見られます。ゴカイのような底生生物の巣穴が固まったものでしょう。
最後に島の東側のスランプ構造を示す露頭です。場所はこの辺。
城ヶ島ではとても有名なスランプ構造の露頭です。下の写真は昨年の巡検のときのもの。露頭のより詳細な写真はリンク先のブログ記事で載せてあります。
巡検だと多くの場合、露頭に食い入るようにして観察してしまうので、だいたいこのような位置から観察するのですが、奥に見える赤い手すりのある遊歩道から観察すると露頭の全体がきれいによく見えます。
こちらの下の写真が遊歩道から見たもの。露頭観察では、間近で詳細に見るだけでなく、離れたところから全体の様子を捉えるの重要ですね。