2014 秩父鉱山渦の沢の鉱物採集
Mineral collecting in Chichibu Mine Uzunosawa area
秩父鉱山渦の沢の様子
採集の概要
2014年5月5日、秩父鉱山渦の沢鉱床を訪れました。渦の沢に訪れるのはかれこれ10年近く前からこれで4回めになるかと思います。坑口前の露頭や転石では、今でもスカルン珪酸塩鉱物の露頭を叩き割ると鉛筆のような燐灰石が採れるといいます。
しかしこれはかなり運がつきまとう採集です。1日中スカルンの露頭や大きな転石を叩いているとアタリもあるらしいですが、なかなかしんどい作業になります。また、昔は同じくスカルン珪酸塩の緑色の石の中から5mm程度の水晶が簡単に採れたのですが、
現在ではこのような石は殆ど無くなってしまいました。やはり水晶は目立つというのと、初心者でも欲しがる鉱物なのですぐに無くなってしまいます。
そこで今回は、この坑口よりも更に先へ先へと渦の沢を登りました。採集のついでに、ルートマップのようなものも描いてみたので(けっこういい加減ですが)、参考までに公開いたします。
秩父鉱山に関するplanetscopeの展示
過去にplanetscopeでまとめた情報の一覧です。
- ・秩父鉱山の目次 Chichibu mine index
すべての情報をまとめた秩父鉱山に関する目次のページです。 - ・渦の沢&大黒河原(2010年)
- ・大黒沢(2011年)
- ・六助沢(2011年)
- ・渦の沢&中津鉱床(桃の窪) (2012年)
フィールドノート
今回の採集での渦の沢の様子を時系列でまとめたものです。
秩父鉄道三峰口駅よりバスで出発。見慣れた大滝ダムを通って中津峡の奥へと向かう。
中津峡の秩父鉱山へ攻め込む前線基地ことこまどり荘である。"中津峡と秩父鉱山"に関するジオパーク秩父の看板ができてました。
さて往くかと、登って登って、久しぶりの沢登りです。右側の写真、沢の分岐目印のぐにゃりと曲った木も2年ぶりくらい。相変わらずご健全で何より。
1枚目の写真は秩父鉱山渦の沢の坑道。かつて磁鉄鉱などを採掘していた。現在、中は水だらけである。
2枚目の写真は秩父鉱山渦の沢で見られる典型的なスカルン。昔はこういう石にガマがあって水晶とかたくさん採れたんだが、今はめっきりなくなってしまったので、更に沢の上流を目指す。
倒れても咲き誇るヤマツツジ。倒れてしまっているのは2014年の大雪のせいだろうか。
狭い沢筋を登って行く。両側にはホルンフェルスの崖が迫っている。
豪雪の影響で、奥秩父は未だにあちこちの沢出雪が残ってます。 上から見ると白い立派な行きですが、表面は凍っていて滑ると危ない上に、 下側は溶けていて案外薄くなっているので、踏み抜くと足を捻挫するので避けて通りましょう。
登ったところに見られる花崗閃緑岩のガレ。この辺りはほとんど花崗閃緑岩ばかり。久しぶりに沢登ったらけっこうしんどかったw
1枚めの写真のような閃緑岩質ペグマタイトの細い脈がいたるところに見られる。
写っているのは緑簾石の細長い結晶。探せば長石・水晶の5mmくらいの結晶が生えたガマが開きそうだが、
いかんせん風化の進んでいない花崗閃緑岩のガレなので、割って探すのはしんどいだろう。
巨大な角ばった花崗閃緑岩がゴロゴロしているのガレ場から、さらに登るぞ。
断崖絶壁にぶち当たる。沢筋のほぼ最後。ここの崖の下付近でスカルン鉱物などを採集、
見つかった粒状結晶のベスブ石。甲武信鉱山を思わせるような塊。 甲武信鉱山のものほど立派ではないが頭付きの結晶も見られ、標本としてはそこそこ持ち帰る価値があるかな、といった感じ。 この場所では他に灰ばん柘榴石を採った同行者もいました。渦の沢の下のスカルンとはだいぶ雰囲気の違う、より高温のスカルン鉱物が見られました。
マンガン鉱石の中に噛んだ細かい水晶の集合もたくさん取れました。 黒いのは二酸化マンガンの錆。なかなかきれいなものはないが、探すと比較的結晶の大きい群晶が見つかります。
帰りはバスがギリギリの時間になったので急いで降りる。
でも、雪ノ下はこうなってるので、本当に踏み抜かないように…
なんとか人里まで降りてきました。久しぶりの秩父鉱山、そして沢登り、とてもたのしいGWで〆られてよかったです。企画してくれたK君、ありがとう!!
ルートマップ
今回の採集に基づいてまとめた渦の沢のルートマップです。三角形は転石を表します。