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凝灰岩 tuff

凝灰岩(ぎょうかいがん、ギョウカイ岩、tuff、タフ)は、火山から噴出された火山灰が地上や水中に堆積してできた堆積岩の一種。 堆積岩の中でも火山砕屑岩に分類される。
凝灰岩(海洋底に堆積した軽石凝灰岩) (栃木県大谷石)
凝灰岩(栃木県大谷石)

凝灰岩の種類

火山灰起源のため、鉱物粒子の多くは自形結晶や角ばった形をした欠片となっている。 凝灰岩の色は含まれる鉱物の種類で決まるが、火山灰の組成や堆積後の変質によって様々な色になる。 火山灰は通常、白色(珪長質)、灰色(中間質)、黒色(苦鉄質)などの色であり、大気や水、あるいは火山ガスなどとの反応をほとんど経ていない新鮮な凝灰岩は同じような色になる。 しかし多くの場合、凝灰岩は噴出から堆積、固化にかけて変質の作用を受けている。 陸上で変質した凝灰岩は、酸化作用でピンク色や赤褐色を帯、海底など水中で変質した凝灰岩は緑泥石などの鉱物を含み緑色を帯びる事が大半である。

ビショップ凝灰岩(アメリカ)
新鮮な凝灰岩の例 (ビショップ凝灰岩、アメリカ)

砂岩などの砕屑岩と比べると堆積にかかる時間が短いため、地層の形成年代(堆積年代)を決定するのに重要である。 また、火山灰は広域的に飛び散る事が多いため、鍵層key bed(離れた地域間での地層の対比をするための目印となる地層)としても重要である。

凝灰岩の種類

軽石凝灰岩

火山灰の他、顕著な量の軽石を含んでいる凝灰岩を特に軽石凝灰岩と呼ぶ。上記の大谷石は軽石凝灰岩の例である。

半遠洋性堆積物 凝灰岩

陸地の火山から遠く離れた海洋底には、火山灰の中でも10μm以下の微細な粒子が風で飛ばされて堆積することがある。 このような半遠洋性堆積物の凝灰岩は、水中で噴出した火山灰と同様に緑泥石などの鉱物が生成するため、緑色を帯びていることが多い。

凝灰岩(姫浦層群, 熊本県) 半遠洋性堆積物
半遠洋性堆積物 凝灰岩(姫浦層群, 熊本県)

溶結凝灰岩

巨大噴火に伴う火砕流などの際に分厚く堆積した火山灰や軽石は、自らの熱で部分的に溶融することがある。 このような凝灰岩を溶結凝灰岩(ようけつぎょうかいがん)と呼ぶ。
溶結凝灰岩が形成後に熱水などによる変質を受けると、変質した火山岩との区別が困難な場合がある。

凝灰岩の利用

大谷石など堆積年代の比較的若い凝灰岩は、空隙が多く加工しやすいことから、壁材などの石材に利用される。 栃木県に産する大谷石(おおやいし)は落ち着いた淡緑色を帯びた美しい見た目を持ち、凝灰岩のの石材としての利用の代表例である。

凝灰岩の石材としての利用 (軽石凝灰岩である大谷石の壁への利用例)
凝灰岩の石材としての利用 (軽石凝灰岩である大谷石の壁への利用例)

関連項目

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