火山岩の定義は、速いマグマの冷却速度でできた岩石である。
名称の通り、マグマが火山で噴出したものは地表ですばやく冷却されるので火山岩になるが、
火山岩はあくまで冷却速度のみで定義されているので、必ずしも火山から噴出したマグマが冷え固まったことを意味するものではない。
火山から噴出せずに地下でマグマが冷え固まった場合であっても、比較的浅い場所では冷却速度が速く火山岩になる。
典型的な火山岩は、結晶のサイズのバラ付きが大きく、比較的大粒の鉱物結晶からなる斑晶(はんしょう, phenocryst, フェノクリスト)と、
細粒の鉱物結晶かまたはガラス(特定の結晶構造を持たない固体)からなる石基(せっき, groundmass, グラウンドマス)からなる組織を持つ。
このような組織を斑状組織(はんじょうそしき、porphyritic texture)という。
斑晶は、マグマが冷え固まる前に既にマグマだまり内で比較的ゆっくりと結晶成長したものである。
石基は斑晶の間を埋める物質で、液体のマグマが急激に冷えて充分に結晶成長しなかった部分である。
マグマの冷却速度が速い場合、ガラスが多くなる。ほとんどガラスのみからなる火山岩も多い。 このような火山岩に含まれるガラス質物質(非晶質物質)を、火山ガラスと呼ぶ。黒曜石は代表的な火山ガラスからなる火山岩である。
ガラス質の玄武岩。マグマが地表に噴出し急激に冷え固まったため結晶化する前にガラスとして固体になったもの。
火山岩・深成岩ともに、火成岩の分類は鉱物構成または全岩の化学組成によって決定される。 一般的な火山岩の分類は、苦鉄質の玄武岩、中間質の安山岩、珪長質の流紋岩の3種類が義務教育でも扱われており、よく知られている。 しかし、日本列島を含めて実際の火山で噴出する火山岩としては、安山岩と流紋岩の中間のような性質を持つデイサイトが一般的である(むしろ流紋岩はまれである)。 これら4種類の火山岩を覚えておけば最低限としては十分だろう。
深成岩と異なり、火山岩の場合は石基が微細な鉱物結晶やガラスでできており、薄片観察のモードカウントによって鉱物構成を決定できない場合が多い。 その場合、全岩の化学分析の値からノルム鉱物構成を計算し、モード鉱物構成の代わりに分類に用いる。
全岩による主な火山岩の分類方法は、SiO2質量%とK2O+Na2O質量%のTAS図(Total Alkalis versus Silica diagram)で定義されている。
火山岩のTAS図(英語) TAS diagram of volcanic rocks.
超苦鉄質の組成をもつ深成岩であるかんらん岩に対応する火山岩はコマチアイトと呼ばれる。 コマチアイトは地球内部が高温だった約25億年前以前には広く見られるが、それ以降の時代にはほとんど見られない。
珪酸塩のマグマ以外から形成される特殊な火山岩として、ほとんど炭酸塩鉱物からなるカーボナタイトという火山岩が挙げられる。
リフト帯による大陸分裂に伴って、水をほとんど含まないマントルが二酸化炭素ガスを大量に含んだ状態で形成されるマグマであると考えられている。
カーボナタイトはレアアースを含む鉱物に富むことがあり、資源的にも重要である。
キンバーライトは、カーボナタイトマグマがマントルを上昇してくる間にかんらん岩と反応してできた火山岩であると考えられている。
キンバーライトはしばしばマントル捕獲岩を多量に含んでおり、貴重な地球深部の情報を提供してくれるばかりではなく、ダイヤモンドの資源としてのほぼ唯一の供給源であることから
重要である。
(準備中)