2020 山口県美祢市喜多平鉱山のオースティン石

Austinite from Kitabira Mine, Yamaguchi Perf., Japan

巡検の概要

喜多平鉱山(きたびらこうざん, Kitabira Mine)は、山口県美祢市長登にあったスカルン鉱床の鉄・銅の鉱山でした。江戸時代から採掘が始まったらしく、1954年(昭和29年)まで採掘が続いていました。
喜多平鉱山は長登鉱山の支山として稼行していた鉱山で、近辺の4つの鉱床をまとめて喜多平鉱山(あるいは北平鉱山)と故障されている。 かつては露天掘りで鉱石を採集しており、長登鉱山のズリで現在も見られるような灰鉄輝石を主体として黄銅鉱磁鉄鉱を含む鉱石が採掘されていた。

現在でもスカルン鉱床らしいズリが大量に見られる長登鉱山とは対照的に、喜多平鉱山にはそのような石はあまり見られないようである。 現地は結晶質石灰岩が分解してできた赤褐色のテラロッサという土壌で覆われている。結晶質石灰岩の露頭には銅や鉛、亜鉛などの様々な二次鉱物が生じている。なかでも黄緑色のオースティン石は日本ではめずらしい二次鉱物である。フライポント石という亜鉛を含んだ蛇紋石の1種も報告されている。この他、孔雀石,水亜鉛銅鉱,菱亜鉛鉱,水亜鉛土,オリーブ銅鉱,ザレシ石,コニカルコ石,アダム石,異極鉱などがあるらしい。

巡検の様子

↓高速道路横の細い道に車を止められる比較的広い空き地があるので、そこから林道(というか登山用の遊歩道?)を歩く。

↓喜多平鉱山までの林道の様子。

喜多平鉱山までの林道の様子

↓喜多平鉱山の跡地は赤茶色の土壌に覆われており、開けている。

喜多平鉱山の跡地は赤茶色の土壌に覆われており、開けている。

↓露頭は結晶質石灰岩(大理石)で、スカルン鉱物はほとんど見られない。風化によって表面は黒灰色に変色している。

喜多平鉱山の露頭は結晶質石灰岩(大理石)で、スカルン鉱物はほとんど見られない。風化によって表面は黒灰色に変色している。

↓ところどころに金属鉱物が見られる。磁鉄鉱だろうか。

喜多平鉱山 ところどころに金属鉱物が見られる。磁鉄鉱だろうか。

↓これがオースティンなのだろうか…?探し回っていると、石灰岩の露頭にこのような黄緑色被膜状~粉状の鉱物が見られた。1m弱にわたって露頭表面に黄緑色のものが確認できたので、量としてはかなりあったと思う。結局、よくわからないが、一応カケラを1つ採集してきた。

これがオースティンなのだろうか

二次鉱物にはあんまり誠意がないのでよくわからなかったが、こんな場所もあるのかと面白い産地でした。

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