2. ジルコンの同位体分析

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2-1 ジルコンのウラン-鉛による年代測定

ジルコンは風化・変質・変成の影響を受けにくい強固な結晶構造を持ち、さらにウランが豊富に含まれている一方、 親銅元素である鉛には極めて乏しく全く無視できる。このためウラン-鉛の放射性崩壊を利用した年代測定に最適な鉱物であるといえる。
ウランと鉛の放射性崩壊は、他の放射性崩壊と同様のアイソクロン法による年代測定のみならず、 ウラン235→鉛207という、ウラン238→鉛206という2つの別の放射性崩壊を利用することで極めて精度の高い同位体年代測定ができる。(鉛-鉛法、Pb-Pb法) Pb-Pb法は、ウランの初期量やウラン235/ウラン238の比といった情報を推定する必要がなく、現在の鉱物中の鉛206/ウラン238と鉛207/ウラン235という2つの同位体比を求めるだけで年代がわかる。 これを利用してコンコーディア(年代一致曲線)を描ける。 さら変成作用による鉛含有量の変化があってもコンコーディアからのズレからディスコーディア(年代不一致曲線)を利用して形成年代と変成年代を推定することも可能である。

しかし、実際の研究の現場においては、238U/206Pbと207Pb/206Pbのコンコーディアが使われることが多い。 これをTera-Wusserburg plotテラワッサプロットと呼ぶ。

この章では、アイソクロン直線の導出、2種類のコンコーディア曲線の導出、コンコーディア曲線の読み方やディスコーディアの意味などについて紹介する。

2-1-1 アイソクロン直線の導出
2-1-2 コンコーディア曲線 (年代一致曲線)の導出
2-1-3 ディスコーディア曲線の意味
2-1-4 アイソクロンとコンコーディアの利用
2-1-5 テラ・ワッサーバーグの年代一致曲線Tera-Wasserburg concordiaの導出
2-1-6 U-Pb年代、Pb-Pb年代の特性

2-2. ルテチウム-ハフニウムLu-Hf同位体分析

ウラン-鉛法はジルコンの晶出した年代を調べるために用いられる一方で、 このルテチウム‐ハフニウム法はジルコンの母岩の分化の度合いを知る方法です。 すなわち、分析したジルコンが全地球平均組成(=コンドライト)やマントルの平均的な組成からどのくらい分化の進んだマグマから晶出したかをある程度推測できます。 ジルコンの母岩やマントルの化学組成にある程度の仮定(モデル)を置くことで、ハフニウムモデル年代を求めることもできる。 このような分析を経ることによって、たとえば同じ10億年前のU-Pb年代を持つ花崗岩起源のジルコンであっても、 海洋プレートの玄武岩から分化したばかりの地殻(juvenileな地殻と呼ばれる)の岩石から晶出したのか、 それともより古い時代にマントルから分化した地殻物質が再溶融を繰り返して最終的に10億年前に固結したのかが判別できます。

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2-3. 酸素同位体比

準備中

2-4. その他の同位体比や微量成分の分析

準備中

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