1 ジルコンZirconとは
・1-1 ジルコンの鉱物学的基礎
ジルコンZirconは、ZrSiO4(=ZrO2・SiO2)という組成を持つジルコニウムの珪酸塩鉱物である。ジルコニウムは地殻中に量の多い元素ではないが、広く分布している。
ジルコニウムを含む鉱物には様々な種類があるが、その中でもジルコンが圧倒的に量が多く
火成岩、変成岩などのあらゆる岩石に微小ながらも必ずと言っていいほど含まれている。
風化侵食に強いことから堆積岩中でも広く見られ、また通常の造岩鉱物よりも
比重が大きいことからジルコンの濃集した堆積鉱床が形成されることもある。(ジルコンサンド)
岩石薄片の観察では、屈折率が高いため開放ポーラーでは輪郭のはっきりした透明なつぶで見え、
直交ポーラーでは高次の干渉色で鮮やかなピンク色などを示すので、ジルコンの判定は容易である。
化学的な分析をする時は、比重が大きいという性質を利用して、重液による比重選別を行うことができる。
ジルコンは造岩鉱物として広く分布するもののは通常は1mmにも見たない程度の小さな結晶であるが、
花崗岩質ペグマタイトでは完全性の高く数cm〜10cm以上にも及ぶ自形結晶となることもある。
色は褐色〜黄土色などが多いが、白色、無色、などのものもあり、また屈折率が高く光沢が美しいため宝石となることもある。
ジルコンはZrSiO4に近い化学組成をもつが、ジルコニウムの一部はハフニウムHfにより置換されハフノン(HfSiO4)という鉱物との固溶体を形成する。
また、微量成分として希土類元素やウランU、トリウムThなどを含むのが普通であり、多かれ少なかれ放射能を帯びる。
ウラン、トリウムを多く含み放射線の強いものは「変種ジルコン」として扱われれることがある。
放射線の特に強いものでは、結晶構造の損傷によってメタミクト現象が起きていることがある。
高圧ではレイド石Reiditeという灰重石と同構造の鉱物に相転移する。さらに高温高圧ではSiO2+ZrO2に分解する。
・1-2 ギャラリー -美しきジルコンの世界
※準備中
ジルコンは通常の造岩鉱物としては大きくても1mm程度の結晶にしかなりませんが、ペグマタイト鉱床などでは数cm大、時として10cmを越える結晶もめずらしくありません。
鉱物標本としても魅力ある鉱物であるだけでなく、屈折率の高さからダイヤモンドのイミテーション(模造品)の宝石としての需要も高いものでした。
Mindatのサイトよりジルコン鉱物標本のギャラリー http://www.minfind.com/minsearch-4421.html
こちらのサイト「空想の宝石結晶博物館」では宝石となって研磨された美しいジルコンや原石の採掘から加熱処理の様子などが詳しく書いてあります。