planetscope_秩父鉱山

静岡県河津町浜(やんだ)

訪問日 2010年3月19日
採集鉱物 モルデン沸石、菱沸石、輝沸石、セラドン石、玉髄


大学受験後の初採集、2日目です。前日は縄地鉱山〜菖蒲沢海岸で銀黒鉱石の採集をしておりました。この日は菖蒲沢海岸の隣の磯の岩石より沸石類の採集です。一番の目当てはモルデン沸石の毛状結晶です。海岸での採集になるため、しっかりと干潮の時間を狙っていかないといいものが採れません。気象庁のHPで確認しましょう。私たちが行ったときは中潮で昼の12時に1番引くと予想されていたため丁度良かったです。
宿泊していた下田のホテルを出て30分ほどで産地に到着、菖蒲沢バス停の辺りより海岸の方へ下りる小道を行きます。下りる場所はアンディランド(亀の博物館)からその北側にある釣具店の間に幾つかあるようですが、どれを選んでも一応海岸にたどり着くことができます。1番早いのはアンディランドの脇にあるベンチのところから下りていく方法でしょう。ちなみに、このアンディランドには無料休憩所や自販機があるため採集後に一息つくには良い場所です。
アンディランド
↑写真左に木製のベンチが見える。この脇にある小道を下りる。

アンディランドの脇から降りていくとしばらくすると水路が見えてきます。いくつかの鉱物採集のガイドブックは釣具屋の脇の道を行く方法を紹介していますが、どちらでも海岸にたどり着きます。よい石を採りたいなら、色々な方法で海岸に下りてみて「産地を広く見てみる」のがよいでしょう!

海岸は安山岩や安山岩質の凝灰礫岩による岩場で、柱状節理やたまねぎ状風化などが見られます。
柱状節理
柱状節理 マグマが冷えて固まる際に、べナール対流によってできたとされる。上から見ると6角形のような形の柱になっている。

玉ねぎ状風化
たまねぎ状風化 少し鮮明さにかける写真ですが、ハンマーの右の岩が玉ねぎのように剥けそうな様子がわかります。
安山岩や花崗岩、アルコース質砂岩などの均質な岩石に良く見られる風化構造です。
こちらの鹿児島大学のHPに少し詳しく載ってます→http://www.sci.kagoshima-u.ac.jp/~oyo/weather_r.html#onion

鉱物産地やんだ鉱物産地やんだ
鉱物産地やんだ鉱物産地やんだ
↑産地の様子。以上4枚の写真は同行者のmilk氏による提供。自分は採集に夢中であまり写真を撮ってなかった(笑)
一番下の写真に写っているのは同行者のmatomato氏。

では、ここでの目当ての沸石について書きましょう。ここで採集できる主な沸石は菱沸石(Chabazite)、輝沸石(Heulandite)、束沸石(Stilbite)、モルデン沸石 (Mordenite)、ダキアルディ沸石(Dachiardite)です。前者2つは多量にあり、少し探せば形の良いものが見つかるはずです。それらは主に海側の海食台に多いようでした。束沸石はあまり見かけません。ダキアルディ沸石はさらにレアなものでなかなか見つかりません。
モルデン沸石こそが今回の一番狙いです。量としては少なくありません。少し見れば小さなものや陶器のような緻密な塊のものならたくさんあります。しかし、良質な毛状、針状のものとなると、なかなか見つかりません。そういったタイプのモルデン沸石の結晶はとても細かく脆いため少しでも波や雨風を浴びると結晶の形が崩れたり、茶色く劣化してしまったりします。良いものを狙うには、露頭や大きな転石の表面に劣化したモルデン沸石がついている部分を割り取っていくと、モルデン沸石の晶洞を見つけることができます。
晶洞の中は、壁面が土状のセラドン石や輝沸石の細かい結晶に覆われている上に小さな球状のモルデン沸石が付いているタイプと、晶洞の中がモルデン沸石の結晶のみで覆われているものの2つのタイプがあります。前者は比較的多く、採集も簡単です。しかし、後者はそれほどたくさんあるわけでもなく、結晶が壊れてしまいやすいため採集も大変です。
今回、matomato氏がなんとなく露頭の崖をハンマーで叩いたところ、長径がなんと15センチほどもある、繊細な針状結晶のモルデン沸石単独で満たされた晶洞が開きました!インドのオーケン石を思い浮かべるくらいのフサフサの晶洞でした!!!
やんだのモルデン沸石
↑いまいち写真が汚くてスミマセン... 上から砂が落ちてきてしまって急いで採集しなければ・・・となってしまって(^〜^;) 左の指はmilk氏です。サイズ参考のため。
その後も、5センチほどの同様のタイプの晶洞が開きました。ただ、どちらの晶洞も露頭の表面にへばりつくような形のもので、きれいにそっくり採集することはできませんでした。仕方なく幾つかのパーツに小割することとなりました。


ここで、モルデン沸石の採集から持ち帰り、保管について書きたいと思います。本産地ではまだまだモルデン沸石のこのような晶洞は出ると思われますので、皆さんにもしっかりと標本を持ち帰ってもらいたいと思います。
まず気をつけなければならないのは、水や砂がかからないようにすることです。水がかかると濡れた髪の毛のように萎んでしまい見てくれの悪い標本になってしまいます。砂は少しなら後からなんとか除去できますが、水洗いできないため、また細かい結晶の中に砂粒が入ってしまうと取れないため、なるべく砂はかからないようにするべきです。
崖から割り採った標本を安全に持ち帰るには、100円ショップなどで売っている仕切りと蓋つきの整理用プラスチックケースが便利です。大型のものが取れたときのためにタッパーウェアも持っていったほうがいいでしょう。プラスチックケースには出かける前にあらかじめ仕切りの中に綿を入れておきます。採れた標本を仕切りの1区画ごとにつめていくのですが、このとき、標本の下に綿を敷いておくのはもちろん、上からも軽く綿を乗せて、標本が動かないように固定すると良いです。ただし、あまりギュウギュウづめにしてしまうと標本がつぶれてしまうので、その辺は微妙に調節してください。モルデン沸石の結晶の上に綿のカスが付いてしまいますげ、この程度なら後から除去できました。タッパーのほうには梱包材に使うビニールの「プチプチ」を入れておき、それで標本を保護すると良いでしょう。必要に応じて結晶部分に綿を当てて保護してください。
ヤンダでの鉱物採集道具に便利なプラスチックケース
↑タッパーウェアと整理用プラスチックケース

持ち帰った標本は、絶対に水洗いしてはいけません。母岩部分の砂は塗装用のハケか筆で軽く掃きます。結晶部分に付いた砂は少しならピンセットでつまんで除去するのが良いです。多めなら、東急ハンズなどで数百円で売っているシリンダー(注射器)を用いて風で吹き飛ばす手もあります。掃除した後の標本は蓋付きの小箱にいれて埃がかぶらないように保管しましょう。
やんだのモルデン沸石
↑収集した沸石を入れた標本棚の引き出し

やんだのモルデン沸石
↑上の標本棚の写真の右手前に入っていた標本のアップ写真。画像幅12cm。

やんだのモルデン沸石
↑上の標本をよりアップで撮ったもの

やんだのモルデン沸石
↑小型の標本ながら毛並みの良いもの。画像幅3cm
言い訳みたいですが、写真がもやっとしているのは決してピンボケではありません!(笑) 結晶が細かいためです!!!

やんだのモルデン沸石
↑標本棚の中の左手にあった標本 このような小さな晶洞は比較的簡単に採集できる。


やんだのモルデン沸石
↑上の標本の晶洞部分のアップ 画像幅2cm
晶洞の壁面がきらきらしているのは輝沸石によるもの。青緑色土状のセラドン石によりコーティングされている場合もありますが、どちらにしてもこのような小型標本を引き立ててくれます。ルーペで観察して楽しみましょう。

モルデン沸石の他の鉱物についても少し載せておきます。
他のHPで本産地の鉱物も広く紹介されていますので、そちらも参考にしてください。
やんだの方解石犬牙状結晶と輝沸石
↑輝沸石の晶洞。方解石の犬牙状結晶(手前の薄茶色のもの)が付いている。このような標本はとても簡単に採集できる。

やんだの青色玉髄
↑青色の玉髄 画像幅3cm 
これもあるところには集中して大量にある。青色の発色の仕組みはよくわからない。セラドン石が関係しているという話もあるが、青になるとは考えにくい。似たような青色の皮膜を埼玉県吉見の沸石産地でも見たことがある。この写真のように立派な仏頭状ではなくもう少しのっぺりしたものではあったが。

やんだのセラドン石と輝沸石
↑セラドン石の上に輝沸石の細かな結晶が付いているもの 画像幅3cm 
このようなものも簡単に採集できる。小型であり珍しいものでもないが、なかなか魅力的な標本だと思います。

なお、露頭は波による侵食や先人の採集により、かなりえぐれた形になっていますので、露頭を叩くときは頭上によく注意してください!安全第一!!!
また、産地を含めて付近の海岸は海藻や貝類の漁場となっていますので、そういったものは採集しないように。漁業権侵害になってしまいますからね。



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