planetscope岩石鉱物詳解図鑑

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結晶片岩 schist

結晶片岩(けっしょうへんがん、schist、シスト)は変成岩のうち、片状構造(片理)の発達したものの総称。 層構造が明瞭な見た目をしており、薄く割れやすい。 源岩や構成鉱物によってさらに細分される。
結晶片岩の露頭 埼玉県長瀞町 泥質片岩
結晶片岩の露頭(埼玉県長瀞町)

結晶片岩の概要

結晶片岩(または単に片岩)は強い片状構造を持つ変成岩の総称である。 片状構造は変形応力によって、鉱物粒子が面的に成長・再結晶することによって生じる。 片状構造の発達するのは、特にフィロ珪酸塩鉱物、イノ珪酸塩鉱物、その他石墨、赤鉄鉱などのようなシート状、針状、繊維状の結晶になる鉱物が多く含まれる場合である。
結晶片岩よりも変成度・変形度が弱いと、泥岩砂岩の場合は千枚岩phyllite玄武岩質岩石の場合は緑色岩greenstone チャートや石英質砂岩の場合は珪岩quartziteなどと呼ばれる岩石になる。
石英・長石のように平たい形状の結晶になりにくい鉱物を主体とした岩石が源岩である場合は、 変成作用・変形作用を受けても片状構造は発達しにくく、 主に片麻岩のような変成岩になる。 片麻岩と結晶片岩の区別に明確な基準はなく、片状構造の発達具合によっては中間的な岩石も存在する。 そのため、同じ岩石であっても、文献によって片麻岩と記載される場合と結晶片岩と記載される場合が混在することもある。

結晶片岩の分類

含まれる特徴的な構成鉱物によって名前をつける。 和名では、鉱物名の「石」「鉱」を取り除いて「片岩」付ける例も多い(緑泥石片岩→緑泥片岩)が、 必ずしも統一的な命名基準ではない。

構成鉱物による分類

含まれる特徴的な構成鉱物によって名前をつける。 和名では、鉱物名の「石」「鉱」を取り除いて「片岩」付ける例も多い(緑泥石片岩→緑泥片岩)が、 必ずしも統一的な命名基準ではない。

色による分類

目で見た色による分類である。おおよそ鉱物による分類と対応するようになっていることから薄片記載など室内分析をする前のフィールド記載などでは重宝する。 緑色片岩と青色片岩は変成相名にも採用されているため、この2つは頻繁に用いられる岩石名である。 その他については用語の意味するところに不確定性が大きいため、推奨される記載ではない。

源岩による分類

源岩の種類によって結晶片岩を分類する。 特に構造地質の記載や研究においては、変成作用による影響よりも元の岩石が何であったか、それら岩石がどのような組み合わせ・構造で 産出しているかが注目されるので、源岩の種類による分類を採用することが多い。 ただし、観察事実は岩石の組織や色、鉱物組み合わせであって、源岩の種類はそれらに基づく解釈である点に注意が必要である。 源岩による分類を行った際に、玄武岩や玄武岩質な岩石の総称としては緑色岩greenstoneが使われることが多い。 もしくは、玄武岩質岩石は変成相を決定するために特に重要であるため、 「緑色片岩」「青色片岩」あるいは「角閃岩」などと具体的な岩石名・変成相名と対応させて記載されることも多々ある。

成因と産出地

結晶片岩になるためには応力が加わって鉱物粒子が配向する必要がある。 そのような条件を満たす場として主だったものはプレート境界である。 結晶片岩は造山運動(=プレート境界での地質現象の総称)に伴う広域変成岩として産することが多い。 特に太平洋型造山運動に伴う低温高圧変成岩体や、衝突型造山運動に伴う高圧・中圧変成岩体の多くの部分は結晶片岩で占められる。 日本国内における結晶片岩の産出地としては、九州・四国から関東まで東西に延びて分布する三波川変成帯が最も有名である。 三波川変成帯には、結晶片岩によって織りなされる景勝地として、埼玉県長瀞の岩畳や徳島県大歩危小歩危などがある。
ただし広域変成岩以外にも、接触変成岩でも強い応力を受けた場合、結晶片岩になっていることもしばしばある。 例えば神奈川県丹沢では、花崗岩類貫入に伴った接触変成作用によって緑色片岩が形成されている。

産業的利用

結晶片岩は、国内外問わず石材や庭石として広く利用される。 御影石として扱われる花崗岩やその他深成岩類・あるいは大理石などは均質で緻密であることから研磨面のつややかさを強調して 石材利用がなされるが、結晶片岩は片理面で板状に割れやすいことを利用して加工した石材が普通である。 雲母類・角閃石類・緑泥石などを含んだ結晶片岩の片理面はキラキラと輝いて美しいことから、装飾的な意味合いも強い石材である。
石英片岩、紅簾石片岩など、色の美しく硬度の高い石英を主要構成物とする結晶片岩は、研磨してネックレスや勾玉などの装飾品に用いられることもある。

関連項目

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