宮城県仙台市板嵐鉱山のモルデン沸石

訪問日 2008年3月25日

この産地が趣味の鉱物採集のHPで紹介されていることはまずないと思われます。ここはバリバリ現役の鉱山で、現在も新東北化学工業株式会社により、工業原料としてゼオライト(モルデン沸石)の採掘が行われています。
モルデン沸石といえば、鉱物愛好家の間では、火山岩の隙間に生えている毛状の集合が思い浮かぶかと思われますが、本産地のものは全く異なっており、白色陶器質塊状です。すべて純粋な沸石ではないので正確には岩石といった方がいいかもしれません。
このタイプのモルデン沸石は、その吸湿性により舐めると舌が吸い付くのを感じられます。また、よく乾かした本鉱に、水を一滴垂らすと、はじめは濡れて白色から薄い灰色になりますが、数十秒のうちに水を吸収してしまい、元の状態に戻ります。この吸湿(さらに有害物質をも吸着する)の性質こそがゼオライトの工業的価値です。

塊状のモルデン沸石
↑本産地のモルデン沸石 左が層状のもの 右が陶器質のもの

モルデン沸石の露頭
↑鉱山内の露頭 写ってる石すべてがゼオライトです。層上になっているのがよくわかります。

板嵐鉱山の露頭
↑鉱山内の様子 新東北化学工業HPより

鉱山の敷地内はもう、ゼオライト鉱石以外の石はないという状況です。もはや、鉱物採集とは言い難いところですね。。。
今回、私は公の(?)観察会に参加していたため、特別に見学できましたが、実際は、現役の鉱山のため、普段は「採集」はできません。くれぐれも勝手に入ったりすることのないようにお願いします。敷地内では大型トラックなどによる鉱石の運搬などもありますから危険です。

でも、がっかりするのは早い! 丁度、尾根の反対側の名取川の河原に、ここの鉱石と同じような石が見られます。鉱山内ではゼオライトしかないのに対して、河原にはメノウ質の転石もまれにあり、また、近くの「らいらい峡」は両岸から凝灰岩の崖が迫っている渓谷になっており、その景色も楽しめるので、そちらに行きましょう。
 参考地図

さて、このようなゼオライトはどのように生成したものなのでしょうか。
それは、今から約1000万年も前のこと。火山活動が活発化して地面が隆起し、東蔵王に巨大なカルデラ群ができました。そしてその一部の白沢カルデラに、現在の愛子周辺から仙台市街地にかけて(上記の参考地図で確認してみてください)、直径10kmにも及ぶ大きなカルデラ湖(古仙台湖)ができました。
その湖に、純粋に近い火山ガラスが川から流れ込んで堆積し、湖底でマグマからの熱を受け、長い年月をかけて変質しました。それがゼオライトの鉱床となったのです。
モルデン沸石の成因
↑カルデラ湖内でのゼオライト生成のイメージ図 新東北化学工業のHPより

先ほど載せた写真には、ゼオライトの鉱石が層状になっている様子が現れていますが、これはゼオライトがカルデラ湖内でゆっくりと反応・沈殿していったということを表しているといえます。

このような鉱床のゼオライトは大変純度が高く、工業的に利用価値があります。新東北化学工業では、ここで採掘したゼオライトを、建材や水処理材から猫のトイレの砂まで、様々なものに利用されているのです。

ここで紹介した鉱山や名取川河原は、わざわざ鉱物採集として出かけるような産地ではありませんが、ゼオライトの生成などは興味深い事柄ですので、何かのようでこの近くに来たときにでも、訪れてみてください。

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