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Armstrong and Harmon (1981)
"Radiogenic isotopes: the case for crustal recycling on a near-steady-state no-continental-growth Earth".

Philosophical Transactions of the Royal Society of London. Series A, Mathematical and Physical Sciences, 301(1461), 443-472.

"放射性同位体-定常状態に近い大陸成長無しの地球における地殻リサイクルの場合"

大陸地殻成長史研究レビュー_地球惑星科学_地球史解読

論文概要

Pb, SrおよびNd同位体は岩石の形成年代やマントル-地殻における滞留時間を決定するが、それらの情報を用いて大陸地殻が成長し量が増えてきたのか、それとも量はほとんど変わらずにリサイクルしてきたのかついては判別できない。 大陸喫水線の不変性と安定な大陸地殻の厚さが年代とともにある1つの値であることは地球史を通じたたった2つの定量的な大陸地殻量の制約であり、これら2つは2.9Ga 以降の大陸成長がごく僅かであったことを示唆する。 鉛同位体、大気進化、地磁気もまた地球史初期における分化を支持する。 地殻の成長率とリサイクル率は地球史最初の10億年に、すなわち初期大陸地殻クラトン化の広まる前に、定常状態に近づくに十分な値である。 同位体組成と岩石年代は、沈み込み帯でのマントルへの大陸地殻沈み込みも含む定常状態のリサイクルと定量的に互換性がある。 リサイクルプロセスは現在の地球でも起きていることが観測できる。大陸地殻はリフト活動で面積を小さくされ、造山帯では分厚くなる。 よって、侵食と効率的な同位体組成の均質化の対象となる。堆積物は海洋底や大陸縁辺の堆積盆へ到達する一方、水溶性の成分は水とともに海洋地殻に固定され堆積物に閉じ込められる。 変質した海洋地殻や堆積物、小大陸、断片化した基盤岩などの沈み込みによって、放射壊変期限のPbやSr、相対的に非放射起源のNdがマントルへと戻る。 マントル由来の火成岩のPb, Sr, Nd同位体組成は定常状態に近い大陸地殻モデルで説明可能である。 マントルバッファーは、観測されるSrとNd進化に対して支配的である。地殻とマントルの混合は、近似的に一段階成長モデルによる同位体進化をもたらす。 地球の同位体比組成の不均質性は、地殻マントルの混合率が弱まるに連れて増加する。 観測されるマントルからの始原的3He散逸は、連続的な大陸分化の証拠では無いし地球史初期の分化とも一致しない。 仮に4.6 Gaに完全に化学平衡に達するような地殻分化が完了していたとしても、ある程度の3Heは地球内部に溶解して残るだろうし、リサイクルプロセスが進むに連れて散逸も進むだろう。時間ととともに駆動エネルギーは減少し、地球表面でのプロセスは生命の発展や大気酸素とともに進化するため、真に大陸地殻が定常状態となることはあり得ない。 このような理想的状態ではない変化と、沈み込みやクラトン化の割合や状態などのバリエーションによって、複雑な上書きが定常状態に近い大陸進化の背景に存在する。

解説

準備中

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概要

大陸地殻からなります。


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