2012 秩父鉱山 山鳥露頭と中津鉱床桃の久保

訪問日:2012年5月4日

埼玉県の誇る関東有数の鉱物採集スポット、秩父鉱山。今回は、東工大の後輩3人と他大学の方2人を案内しました。 本当は大黒沢へ行こうと企画していましたが、あいにくの雨模様で危険だったため、渦の沢へ変更、しかし、それでも危険なくらいの強い雨になってきてしまったためこまどり荘へ一時退避しました。その後は天気が安定してきたので、中津鉱床の入口、桃の久保を少しと、出合、山鳥、そして大黒の様子を上から眺めるという、ハイキングのような「巡検」になりました。
それでも、さすがは秩父鉱山、様々な鉱物や岩石の採集・観察をすることができて、同行者の皆様もそれなりに満足していただけたようでよかったです。

1.道路工事について

出合〜大黒にかけての道路にて、崖にネットを掛ける工事を行なっていました。秩父市(旧大滝村)の中津川集落近辺は、秩父地域の中でも最も急峻な山奥であるため、落石・がけ崩れが非常に多いです。
道が通行止め担っていることも多いので、鉱物採集に出かける前に道路情報をよく確認して行く必要があります!

秩父鉱山(ニッチツ鉱山)への道の通行止め情報 秩父鉱山(ニッチツ鉱山)への道の通行止め情報
秩父鉱山(ニッチツ鉱山)への道の通行止め情報 秩父鉱山(ニッチツ鉱山)への道の通行止め情報

2. 山鳥の露頭 (自然金を含むザクロ石主体のスカルン露頭)

山鳥隧道手前の河原にある高さ3m程度の露頭です。ここには黄土色の灰ばん柘榴石と石英、少量の黄鉄鉱という鉱物組合せからなるスカルンの岩石が露出していますが、 この中から自然金が一時期大量に出たことから一躍有名な鉱物産地になりました。 はじめは露頭だったのですが、鉱物マニアが入れ代わり立ち代わり叩いて砕いて、今ではだいぶえぐれてしまっています。 以前は道路から山鳥の河原へ、ゆるやかなスロープが設置されていて簡単に降りることができましたが、昨年2011年の台風でこのスロープが崩れてしまいました。現在では少し上流側から別のスロープができており(以前のものよりは急で少し足場が悪いですが)、山鳥の河原ないし露頭にアクセスすることができるようになっていました。

秩父鉱山_山鳥の河原での鉱物採集 秩父鉱山_山鳥の河原での鉱物採集
↑山鳥の新スロープの様子。山鳥隧道の脇からスロープがありますので、そこを降りることができました。

秩父鉱山_山鳥の河原での鉱物採集
↑山鳥の柘榴石の露頭の様子。露頭ではもはや自然金は殆ど採集できなくなってしまったが、 空隙に自形結晶となった小さな柘榴石や繊維上の緑閃石程度なら採集できる。しかし、以前よりも上に土壌がかぶった…気がしなくもない…? とりあえず、採集は可能です。

秩父鉱山_山鳥の河原での鉱物採集 
↑山鳥の河原の様子。以前のスロープは跡形もなくなくなっていた...今回、ここの河原でもいくつかの主に菱マンガン鉱からなる炭酸マンガン質の転石が手に入り、その中には小さいながらもブーランジェ鉱か毛鉱が入ったものを採集した人もいまいした。 また、方鉛鉱Galenaの塊を採集した人もいました。

3. 中津鉱床 桃の久保

桃の久保は、中津集落からすぐ近くにあり、森林科学館の案内によると「鉱山の森」として看板が出ていました。中津鉱床の入口に当たる部分だそうです。大したものが採集できるわけではありませんが、磁鉄鉱Magnetite、黄鉄鉱Pyrite、また珪孔雀石などの二次鉱物が採れます。今回は確認できませんでしたが、異極鉱Hemimorphiteの採れる露頭もあるそうですので、機会があれば再訪してみたいですね。

埼玉県秩父鉱山桃の久保(中津鉱床)の鉱物採集 埼玉県秩父鉱山桃の久保(中津鉱床)の鉱物採集
↑桃の久保への入口(左)とその道の途中(右)。桃の久保は地形図でも「窪」として記載されているので場所はすぐわかります。 道は、手前にお墓がありそのためにゆるやかな階段とスロープが取り付けてあり、簡単に進むことができます。 沢筋は、鉄鉱床らしく真っ赤に染まっていました。秩父鉱山おなじみの光景ですね…w

埼玉県秩父鉱山桃の久保(中津鉱床)の鉱物採集 埼玉県秩父鉱山桃の久保(中津鉱床)の鉱物採集
↑道中、トロッコの残骸と、SANRAKUと書かれた瓶を発見。 見た時はビール瓶だと思ってたのですが、調べてみれば「三楽酒造株式会社」という会社であることがわかりました。おそらく、三楽酒造の焼酎の瓶です。 三楽酒造は1990年以降、現在ではメルシャンという社名になっています。 1934年に昭和酒造株式会社として創設、1941年に昭和農産化工株式会社、1949年に三楽酒造という社名になりました。 そう考えると、この瓶は1949-1990年の間のものであることがわかりますが、ちょっと年代幅が大きすぎますネ… 実際に鉱山で働いていた人の残したものか、それとも後の時代に山にただ捨てられた瓶なのかは判別は難しいです。

埼玉県秩父鉱山桃の久保(中津鉱床)の鉱物採集 埼玉県秩父鉱山桃の久保(中津鉱床)の鉱物採集
↑さて、酒瓶はさておき、鉱物採集の話しに戻る。 写真は桃の久保の様子。ここで多少の鉱物採集ができた。磁鉄鉱の八面体や十二面体の自形結晶、スカルン珪酸塩の塊の空隙に生えた緑簾石などが採集された。 他のメンバーでは、珪孔雀石のような二次鉱物を採集した人もいた。


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