糸魚川ジオパーク ヒスイ関連施設めぐりの旅

訪問日 2015年11月7日


フォッサマグナミュージアム1

糸魚川フォッサマグナミュージアムは糸魚川市内の美山公園内にある市立の地球科学博物館です。

糸魚川ジオパーク ヒスイ輝石 フォッサマグナミュージアムの展示

世界的に珍しい宝石クラスのヒスイ輝石の産地であることや、 糸魚川静岡構造線・フォッサマグナという日本列島の地球科学研究史上とても重要な地質構造を持つことに注目して、 1994年にオープンした博物館です。地方都市である糸魚川ですが、このような経緯から素晴らしく充実した日本屈指の地球科学の博物館となっています。 糸魚川ジオパークが世界ジオパークに認定されて以降はその学術的中心を担う博物館施設として、2015年4月の改装も経てさらに展示・教育などを活動を強化しています。 入館料は大人500円、高校生以下で無料と、とてもお安くなっています。

ちょうど5年前の2010年に大学の実習でフォッサマグナミュージアムに訪れたのですが、今年4月の改装の後に訪れるのは初めてです。 この記事では、フォッサマグナミュージアムの目玉展示であるヒスイ輝石関連にフォーカスして、「第1展示室 魅惑のヒスイ」「第2展示室 糸魚川大陸時代」にフォーカスして紹介したいと思います。 フォッサマグナミュージアム全体の展示の概要は、こちらの糸魚川市の公式サイトに載っていますので予め参照していただけると様子がつかめるかと思います。

糸魚川ジオパーク ヒスイ輝石 フォッサマグナミュージアムの展示

まず、博物館の建物に入る前に、糸魚川フォッサマグナミュージアムの駐車場脇にある化石採集の体験広場。石灰岩がたくさん撒いてあってちょっと見ただけでもフズリナなどが見られました。 化石採集は館内で手続きしてからになりますので、勝手に採らないように。ハンマーやゴーグルなどの採集道具は貸してくれます。

糸魚川ジオパーク ヒスイ輝石 フォッサマグナミュージアムの展示

糸魚川ジオパーク ヒスイ輝石 フォッサマグナミュージアムの展示

博物館に入ってすぐ目の前に、新着展示の小滝のヒスイ輝石岩の塊が展示されていました。 糸魚川地域のヒスイ輝石岩の典型的な転石で、白色の地に緑色が入っていて良い標本です。糸魚川地域のヒスイ輝石は残念ながら露頭では見つかっておらず、全て転石での産出になります。 小滝や橋立などの翡翠峡では天然記念物に指定されているので採掘はできませんが、その他の場所でも道路工事などの際にはこのようなヒスイ輝石の塊が発見されるそうです。 この標本も、工事によって発見されたのだそうですが…工事作業員が残土から勝手に持ちだしたところ、国有地での工事だったので窃盗罪で御用になり、標本は没収され、 そしてここフォッサマグナミュージアムに行き着いたそうです。皆様も山奥だからヒスイの塊1つくらい持ちだして一儲け、などと考えないように。 この辺りではそういう盗掘への警戒は十分に行われており、盗掘者は逮捕され標本は博物館の充実に貢献するだけの結果になってしまいますw

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>フォッサマグナミュージアム入ってすぐの展示に世界ジオパーク認定に関連したものもありました。ジオパークの紹介に始まり、糸魚川ジオパークの世界ジオパーク認定への経緯などの説明です。 >写真はユネスコから糸魚川ジオパークへ贈られた世界ジオパーク認定証と、記念品の盾です。 >

糸魚川ジオパーク ヒスイ輝石 フォッサマグナミュージアムの展示

糸魚川ジオパーク ヒスイ輝石 フォッサマグナミュージアムの展示

イントロが長くなりましたが、まず「第1展示室 ヒスイの魅惑」について書きます。この部屋は入って最初の展示室であり、改装以前との大きな差のひとつ担っています。

糸魚川ジオパーク ヒスイ輝石 フォッサマグナミュージアムの展示

糸魚川ジオパーク ヒスイ輝石 フォッサマグナミュージアムの展示

モダンでファッショナブルに沢山のヒスイ輝石を並べてある第1展示室。部屋の四周を囲むガラスショーケースに、 大きさ・カラーさまざまなヒスイがずらーっとアクリル台の上に並んでいる様は壮観です! 円磨された転石が多くを占めており、フォッサマグナミュージアムのコレクション量の豊富さが感じられます。 とても美しい一級品はもちろん、海岸や河原でひょっとしたら拾えそうなレベルのヒスイまで並べられているので、石の面付きなどしっかり見学しておくと採集の勉強になりそうです。

糸魚川ジオパーク ヒスイ輝石 フォッサマグナミュージアムの展示

糸魚川ジオパーク ヒスイ輝石 フォッサマグナミュージアムの展示

中央のショーケースにはさらに高級な品が飾られています。おそらく一般の方なら、この「緑色ヒスイ 象の足」が一番目につくのではないでしょうか。 象の足のようなぼてっとした形なので、このような名前になってますが、石自体は文句なしに美しい鮮緑色です。

糸魚川ジオパーク ヒスイ輝石 フォッサマグナミュージアムの展示

糸魚川ジオパーク ヒスイ輝石 フォッサマグナミュージアムの展示

第一展示室中央にむき出しの状態で鎮座しているひときわ大きなヒスイ輝石の塊があります。 こちらは見た目には表面の風化により色はあまり派手ではないので、一般の人には見向きされにくいかもしれません。 しかし内部は緑色に色づいていおり、透過光はすばらしく鮮やかな緑色です。右の写真はスマホのライトで試してみた様子です。 このヒスイ輝石の塊、ただ置いておくのではなくて下からライトで照らしたら全体がほわっと緑色の透過光を放って素晴らしく美しい展示になるのではないか… 今後の展示改良に期待したいです。

糸魚川ジオパーク ヒスイ輝石 フォッサマグナミュージアムの展示

糸魚川ジオパーク ヒスイ輝石 フォッサマグナミュージアムの展示

緑色のヒスイばかりでなく、白色、黒色、青色、紫色、様々なカラーのヒスイ輝石が一通り揃えてあります。 ヒスイ輝石NaAlSi2O6は純粋なものは白色で、クロムや鉄を含むと緑色に、チタンを含むと紫色や青色になります。 またインクリュージョンとして石墨を含むと黒ヒスイと呼ばれるものになります。

糸魚川ジオパーク ヒスイ輝石 フォッサマグナミュージアムの展示

糸魚川ジオパーク ヒスイ輝石 フォッサマグナミュージアムの展示

(左) ラベンダーヒスイ。紫色のヒスイ輝石はチタンによる発色であると言われており、写真のように茶色いチタン鉱物(おそらくクサビ石Spheneなど)やさらにレアな鉱物を伴うことも多いです。 (右) 青色ヒスイ。青色ヒスイはヒスイ輝石がチタンや鉄を含むことによる発色で、ちょうどコランダムの発色機構と同じだそうです。

この第1展示室のヒスイ輝石を眺めているだけでも、相当な時間を使ってしまうのですが、次の第2展示室も数多くにヒスイが展示されており、また鉱物学的・地球科学的解説も充実しています。 続きの記事に移る → フォッサマグナミュージアム2 第2展示室ほか


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