2014 四国地質巡検と鉱物採集
ぐるっと三波川変成帯 その2
愛媛県東赤石山ふもと関川の三波川変成岩転石
雲霞の中にぼんやりと三波川変成帯の聖地こと東赤石山が見える。いや見えてないなこの写真だと…かなり急峻な山で、日本アルプスを思わせるような出で立ちである。ここが登山道の起点である。
早速河原に降りる。周囲の露頭は緑色片岩相程度の低変成度のものばかりだが、堰のちょっと下流の場所に上流の柘榴石角閃岩やエクロジャイトなどが溜まっている。
以下、河原の転石から目立ったものをいくつか。柘榴石角閃岩に含まれる鉄礬柘榴石の結晶が丸くなっているのが特徴的です。このようなタイプのものがここには沢山あります。
柘榴石の結晶が丸くなって成長しているのは、変成時に層構造が流動するような応力が加わって雪だるま式に回転しながら成長したためです。
エクロジャイトはなかなか見つかりませんでした。惜しい物がありましたが、それでも後退変成作用をけっこう受けて角閃石になっているような雰囲気でした。
しかし、ときどき鉄礬柘榴石の素晴らしいい自形結晶が見つかることもあります。
エクロジャイトの中から1粒、結晶面の見える物がありましたが、それよりもこの柘榴石角閃岩の転石がこの日一番の収穫になりました。
風化した外見からして、柘榴石の結晶の部分が丸くなっておらず、角ばった四角形や六角形となっていることから、アヤシイと思ったのですが…
! 標本写真 !
素晴らしい自形結晶!! 菱面12面体の濃いオレンジ色のざくろ石結晶がザックザクと出てきます!!
ほとんどすべての石で流動による応力で丸い結晶となっていた中、これはもう奇跡のように美しい自形結晶です。
上の写真の左側に写っている通り、おそらく変成岩体の中で"渦"か"よどみ"となった数メートルの部分があって、
そこでは流動による応力を免れて結晶がフリーに自形へと成長したようです。
割れるだけ割って持ち帰りましたが、半分以上はタイムアウトで残してきました。
それでもごちそうさま、もうお腹いっぱい鉄礬柘榴石の自形結晶が取れました。
後日、同行者が再び行って回収してきたとのことです。
関川のこの場所は駐車スペースからもすぐのところで、初心者でも鉄礬柘榴石を始めとする鉱物採集や、三波川変成帯の高変成度部分の変成岩の見学といった地学巡検を気軽に楽しめる場所です。
しかし転石採集となるので、いつもいつも安定して同じような石に出会えるわけではないことにご注意ください。
ちなみに、案内していただいたM氏は頻繁にこの場所を訪れているそうですが、今回のような柘榴石の自形結晶に出会うのは始めてで、
しかし今回はほとんどなかったエクロジャイトには前回まではもっと沢山出会えてというようなことを言っておりました。
行くたびに違う石に出会えるといのも、関川のこの場所の楽しみ方の1つかもしれません。それはそうとしても、今回の柘榴石自形結晶の
出処となった露頭は見てみたい気がしますネ。